南昌宏・りそなホールディングス社長兼グループCEOPhoto by Yoshihisa Wada

メガバンクによるリテール戦略の主導権争いが激しさを増している。三井住友フィナンシャルグループは、金融アプリ「Olive」をPayPayと連携させ、さらに中小企業向けの新サービス「Trunk」を投入。三菱UFJフィナンシャル・グループも個人向け新サービス「エムット」を立ち上げた。そんな中、「リテールNo.1」の実現を掲げてきたりそなホールディングスはどう対抗するのか。南社長に話を聞くと、既存のグループアプリを進化させた“アプリ2.0”構想の一端が明かされた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

メガバンクが続々参入
りそなの対抗策は?

――三井住友フィナンシャルグループ(FG)が「Olive」に続いて、法人向け総合金融サービス「Trunk」を公表しました。三菱UFJフィナンシャル・グループも、新金融サービスとして「エムット」をリリースしています。こうしたメガバンクの動きをどう見ていますか。

 決済を軸に経済圏や非金融分野を組み合わせたエコシステムの提供が、銀行グループの枠を超えて広がっています。これが最近の大きな変化です。

 メガバンクさんが展開しているサービスは非常に魅力的ですし、興味深いです。例えば三井住友FGさんの取り組みも、お客さまにとっては多様な選択肢が生まれ、新たな価値が創出されているといえます。加えて、これまで現金で行われていた取引が、デジタルやキャッシュレスへと移行しつつあります。

 そうした社会全体の変化やお客さまの金融行動の変化に合わせて、私たちが提供すべき商品やサービスも確実に変化していると感じています。

 一方で、私たちも国内のリテール分野で存在感を発揮していきたいと考えています。そのためには、お客さまに選んでいただけるサービスをいかに創り上げるかが重要です。

――三井住友FGの「Trunk」は中小企業向けのサービスです。脅威に感じていますか。

 あまり目立っていないかもしれませんが、私たちも約1年半前に「りそなグループアプリ for ビジネス」をリリースしました。リアルでの対応が難しい領域に対し、UI/UXと利便性を組み合わせた新しいサービスで、現在では約1万5000社の企業にご利用いただいています。

 こうした流れが加速している背景には、テクノロジーの進化だけでなく、お客さまの意識や金融行動の変化があります。それを支える新たな仕組みや仕掛けが次々と生まれ、中小企業の領域にも大きな変革の波が押し寄せています。

――りそなのサービスには、どのような点で他社にはない強みや優位性がありますか。

次ページで南社長は「『ここに素晴らしい商品があります、ぜひ使ってください』とうたうだけでは、サービスは広がらない」と述べ、全国約800の店舗網と対面での営業の重要性を強調。さらに、現在のグループアプリを進化させた“アプリ2.0”構想の一端も明かした。