ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

トランプ氏がドル高を容認している間に日本がすべきこと

高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第225回】 2017年1月11日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage
ドル高の期間中に日本経済がデフレマインドを払拭できるかが問われそうだ

為替市場は常に米国が「鬼」の
「達磨さんが転んだ」

 2016年11月の米国大統領選以降、1ドル103~104円前後で推移していた為替市場は急速に円安が進み、年末には117~118円台の水準にまでなった。

 筆者が円ドル為替について長らくストーリーラインとしてきたのは、「達磨さんが転んだ」として、中期的トレンドの転換は、歴史的にみていつも「鬼」である米国サイドにあるとするものだった。

 2016年は年初来、筆者は、鬼である米国の為替政策が、それまでドル高を許容してきたスタンスから、ドル安に転じたと議論してきた。ただし、本論での認識は、2016年11月、トランプ氏の当選による米国の金融・財政政策のポリシーミックス(政策の組み合わせ)の転換で、再びドル高政策に転じるという「達磨さんが転んだ」が生じたとするものだ。

 振り返れば、第二次大戦後、長らく為替市場の転換のイニシアティブを握る「鬼」はいつも米国だった。2007年以降、米国が大恐慌以来のバランスシート調整に陥り量的緩和であるQE1、QE2、QE3を用いて自国通貨安政策、すなわちドル安誘導を行った(次ページ図表1の(6))。その後、2012年後半以降、米国が自国通貨安政策を転換させたことで、為替がドル安からドル高に転じた(同図表1の(7))。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

⇒バックナンバー一覧