結局アメリカ自動車産業の
デファクト主導に振り回される?

半導体大手のエヌヴィディアの自動運転デモ。一応、人が乗っているが、目の前に障害物があると、走行ルートを自動で変更する Photo by Kenji Momota

 結果的に自動車が目立った、CES2017。屋外会場では、画像認識に強みがある半導体大手のエヌヴィディア(nVIDIA)が、自動運転車を走らせた。また、フランスの自動車部品大手のヴァレオは、前進だけでなく、後退時や車体の側面を含む360度方向の自動ブレーキに関するデモを行うなど、海外メディアを含めて高い関心を集めた。

仏ヴェレオが行ったデモ。量産型のメルセデスが搭載しているカメラ、レーダー、超音波センサーなどを使って、後方と側面での自動ブレーキをかけるシステムを発表 Photo by Kenji Momota

 こうした動きは、アメリカでの自動運転やコネクテッドカーに対する事実上の標準化(デファクトスタンダード)を強く意識したものだ。

 米運輸省の国家道路交通安全局(NHTSA)は2016年9月に自動運転に関するガイダンスを、また同年12月にはコネクテッドカーに関するルールを発表している。この他、自動運転については、カリフォルニア州交通局と連邦環境局(EPA)が自動運転に対して、2016年中にそれぞれ独自の考え方を公表している。

 こうしたなか、日本はアメリカに同調する動きを見せている。例えば、自動運転の自動化のレベル表記について、NHTSAが「今後は、米自動車技術会(SAE)の表記に統一する」ことを決定。これに、自動運転に関してこれまでNHTSA準拠の姿勢だった日本の国土交通省は、SAE表記への変更をあっさり決めた。具体的な変更点としては、完全自動運転はこれまでのレベル4からレベル5へと変わる。

 なお、2017年初めの時点では、国が作成する自動運転関連の資料には、NHTSAとSAEの自動化レベルが併記されており、「近いうち、時期を見てSAE表記に統一する」(行政機関関係者)という状況だ。

 自動運転やコネクテッドカーの技術の基準化や、道路交通省に関係する法整備については、国際連合の欧州経済委員会の傘下にある、自動車基準調和世界フォーラム(WP29)やWP1で国際的な協議が進んでおり、日本は各種のワーキンググループでリーダー的な役割を示している。しかし、全てが投票によって決まる国連の意思決定システムでは、タイムリーな法改正ができないケースも見られる。

 その一方で、ITや通信の大手企業を擁し、高付加価値のクルマという点では中国を凌ぐ世界ナンバーワンの自動車製造・販売国ともいえるアメリカが、自動運転とコネクテッドカーに対するデファクト奪取を仕掛けているのだ。この動きに対して、国連側はアメリカとの協調を模索するに留まっており、事実上アメリカに対して手が出せない。