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【ゼンショー】
成長路線に安定性確保も目指す
新たな戦略で狙う世界一への野望

週刊ダイヤモンド編集部
【第22回】 2011年3月8日
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すき家での牛丼の値下げ攻勢。積極的な借り入れをしながら行う直営店の出店とM&Aによる規模の拡大。過当競争市場にもかかわらず、収益拡大を続けてきたゼンショーの経営を分析する。

 牛丼業界ではこの1年強、すさまじい価格競争が繰り広げられている。なかでも大きく勝負に出たのがゼンショーのすき家だ。

 2009年12月7日、牛丼(並盛)の価格を330円から280円へと、01年のデフレ宣言下の価格に並ぶ安値に改定。その4日前に、松屋が吉野家を含む牛丼大手3社最安値の320円を打ち出した直後の最安値塗り替えだった。しかも、コメを新米コシヒカリ100%に切り替えるなど、同時に品質を引き上げた。

 その後現在に至るまで、松屋とは時期を重ねるようにして7回以上、牛丼の期間限定値下げキャンペーンを打ち合い、両社一歩も引かない戦いを交えている。

 価格戦略に出てからというもの、2社の、特にすき家の既存店売上高は、牛丼の価格競争とは一線を画した吉野家とは対照的に、総じて好調だ。それぞれの価格改定効果が一巡した昨年12月以降も、落ち込みは見せていない(図(1))。

 通常、値下げをすれば利益率の圧迫が懸念される。しかし図(2)で示したように、ゼンショーの昨年度(10年3月期)の経常利益率は3.3%と前年度比1.3ポイント改善、松屋フーズのそれも4.0%と同0.2ポイント改善した。今年度はさらに、ゼンショーは4.3%、松屋フーズは6.2%まで上がる見込みだ。

 最大の要因の一つは、「高齢者やファミリーなど、明らかに客層が拡大している」(平野誠・ゼンショー取締役)ことなどにより、客数増で客単価の下落分をカバーできたことだ。そもそも「牛丼はeveryday、everybodyのコモディティ(日用品)」(小川賢太郎・ゼンショー会長兼社長)。それだけに、需要が価格の上げ下げに影響を受けやすい。経済環境の悪化で低価格へのニーズも高まった。

 また、たとえばすき家は「ねぎ玉牛丼」といったトッピングメニューなどで客単価の下支えもする。

 売上高は松屋フーズの5倍以上あるゼンショーだが、経常利益率は松屋フーズのほうが高い。これは、同社の事業形態が松屋のほぼ単事業展開だからだ。主力商品である牛めしの好調で松屋の業績が上がれば、その恩恵が連結ベースにフルに反映される。反面、BSE(牛海綿状脳症)という不慮の事態に巻き込まれたときは打撃が大きかった。

 一方、ゼンショーはココスジャパンのM&Aを契機に、この10年で急速に多角化と売上高の拡大を進めている(図(3))。自前の直営店による拡大はM&A以上に積極的で、昨年度までの過去5年間で約1600店を出店。牛丼業態のほかにファミリーレストラン業態など、新たな柱をつくることで安定的な収益を得られるようになり、単事業であることのリスクヘッジが可能となっている。

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