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マツダ代表取締役社長兼CEO 小飼雅道

マツダはフォード傘下で何を学び、なぜ復活できたのか

小飼雅道 [マツダ代表取締役社長兼CEO]
【第2回】 2017年1月16日
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Photo by Akinori Shimono

フォードと資本提携した「大きな効果」

 マツダという会社の来し方を振り返るにあたって、米フォード・モーターとの関わりは欠かせないテーマだ。マツダとフォードとの関係は古い。フォードが株式の24.5%を取得して資本提携したのは1979年11月のことだった。

 その後、日本のバブル経済崩壊後の不況の中、マツダは経営不振に陥り、93年から95年にかけては3期連続となる大幅赤字を計上した。これを機に、93年12月にフォードとの新たな戦略的協力関係構築を発表。さらに96年6月にフォードの出資比率は33.4%に引き上げられ、フォード出身のヘンリー・ディー・ジー・ウォレス氏がマツダの社長に就任した。

 以来、ジェームズ・イー・ミラー氏(97~99年)、マーク・フィールズ氏(99~2002年)、ルイス・ブース氏(02~03年)と、フォード出身社長の時代が続いた。

 第1回で記したように、バブル時代のマツダは身の丈を超えた拡大志向に走った。5つの販売チャネルで30車種以上にまでカーラインナップを広げたのは、その象徴といえるだろう。

 そんな状況下、フォード傘下で進められたのは、同社の世界戦略の中でのシナジー効果の追求だった。

 実際、大きな効果があった。例えば、「Bセグメント」と呼ばれるいわゆるコンパクトカーでは、96年にマツダが基本設計を行って投入した小型ステーションワゴン「デミオ」があるが、フォードではこれを「フィエスタ」の名で世界中に供給した。このように、セグメントごとにプラットフォームを共通化することで、大きなシナジーが生まれたのである。

 ひとクラス上のCセグメントでは、当時フォードの傘下にあったボルボのチームがプラットフォームを基本設計し、フォードでは「フォーカス」、マツダ車としては「アクセラ」の名で販売され、これも全世界で成功を収めた。また、その上のCDセグメントではマツダが開発した「アテンザ」のプラットフォームを活用し、フォードは「フュージョン」として売り出すという具合である。

 開発だけではない。例えばマツダのタイ工場ではマツダが基本設計したピックアップトラックを年間10万台生産していた。マツダ単独では10万台に達することはできなかったが、フォードと販売台数を合わせることで10万台となり、規模の経済で部品調達のコストも下がる。

 この「プラットフォームを共通にし、ブランドと姿かたちを変えて世界中で作って販売する」という手法は、確かに効果があった。フォードグループの中でしっかりとコンセンサスを取りながら、フォードのブランド戦略の中での役割を全うし、効率よく開発・生産に取り組むことで、マツダの業績は上向きになった。

 ところが、である。2008年のリーマンショックを機に、フォード自体の経営が苦しくなり、マツダの株を手放さざるをえなくなる。2008年度は13.8%、2010年度には3.5%、2011年度には2.1%と、フォードの株式保有率は漸減していった。最終的に2015年度にフォードはマツダ株を完全売却し、36年にわたる資本提携関係に終止符が打たれることになる。

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小飼雅道 [マツダ代表取締役社長兼CEO]

昭和29年8月生まれ。昭和52年マツダ入社、平成10年車両技術部長、15年技術本部副本部長、16年執行役員防府工場長、20年常務執行役員生産・物流担当補佐、コスト革新担当補佐、技術本部長、22年専務執行役員生産・物流・ITソリューション担当、コスト革新担当補佐、研究開発担当補佐、23年取締役専務執行役員生産・購買統括、物流・ITソリューション担当、モノ造り推進担当補佐、25年代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)。

 


マツダ代表取締役社長兼CEO 小飼雅道

広島で生まれ今も広島に本社を構えるマツダ。1990年代に経営危機に陥り、米フォード・モーターの傘下で大リストラを経験し、リーマンショックで再び業績は悪化するなど紆余曲折を経ながらも「マツダ車でなければダメなんだ」という熱烈なファンを持つ自動車メーカーだ。そのマツダを率いる小飼社長は長く生産畑を歩んだ生粋の技術屋であり、モノ造りへのこだわりも強い経営者。小飼社長がグローバルの激しい競争にさらされる自動車という市場でいかに経営の舵取りを行なうか、経営戦略・経営哲学を語る。

「マツダ代表取締役社長兼CEO 小飼雅道」

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