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トランプ「国境税」が世界経済にとって危険な理由

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第463回】 2017年1月24日
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Photo:REUTERS/AFLO

世界経済は
縮小均衡に向かう!?

 1月11日、トランプ氏が大統領当選後初めて記者会見を開いた。同氏は大統領選挙以降、財政出動、規制緩和、減税からなる“トランプノミクス”の具体的な内容に言及してこなかっただけに、世界中の経済専門家や市場関係者は目を凝らして注目した。

 トランプ氏は、多くの人たちが期待した経済政策の具体策には言及しなかった。むしろ、記者会見で一層明確になった点は、トランプ氏が「米国第一」を重視していることだ。具体的には、同氏は米国から出ていく企業には国境税(Border Tax)をかけると警告した。トランプ氏の主張する国境税がどのような効果があるか、経済の専門家の間でもさまざまな意見がある。

 国境税については、与党である共和党内部からも賛同する意見が出ており、今後、国境税がどのように扱われていくかは、トランプノミクスを評価する重要なポイントの一つになるだろう。

 トランプ氏が大統領の権限を行使すれば、すぐに国境税の導入を実現できるわけではない。同氏の意図は必ずしも明確ではないものの、特定の企業を念頭に国境税を課そうとしているようにも見える。

 一方、共和党内部では輸入企業を罰し、輸出企業を支える税制改革を進めようとする動きもみられる。米国経済の底上げを実現するという大統領選挙戦の公約、共和党への支持拡大を考えると、政治家にとって国境税の導入は魅力的なのだろう。

 記者会見後の各国政府の反応などを見る限り、トランプ氏が主張する国境税は、輸出業への補助金の側面がある。米国がそれを実行に移せば、世界経済は貿易競争に直面し、縮小均衡に向かうだろう。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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