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財部誠一の現代日本私観

“過剰な自粛”が被災復興につながるのか
今こそメディアと大企業に求めたい「冷静な対応」

財部誠一 [経済ジャーナリスト]
【第3回】 2011年3月19日
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 東日本大震災がもたらした津波被害の激甚。地震から1週間を経た今でも、被害の全体像は見えてこない。東北地方では恐怖と無念のなかで多くの人々が命を落とし、九死に一生を得た人々も掛け替えのない家族を失い、家をなくし、過酷な避難所生活を強いられている。美しい三陸の海岸も、のどかな港町も、実り豊かな田畑も消えてしまった。被災した人々の絶望を慰める言葉を私は見いだせない。

 マグニチュード9.0という誰も想定できなかった地震は、福島の原発危機という恐るべき事態をも併発した。私は原発の取材を何度かしている。日本の原子力発電所の技術レベルは世界屈指で、06年の中越地震で想定外の揺れに見舞われた柏崎の刈羽原発も「止まる」「冷やす」「閉じこめる」をしっかりと実現した。関連設備の火災で黒煙が上がり、一時は騒然となったが、震災後の調査に入ったIAEAが、その技術力を高く評価したことはまったく報道されなかった。

 それに対して福島の原発事故は深刻だ。18日に原子力安全・保安院は福島第一原発1~3号機の事故について、国際原子力事象評価尺度(INES)の暫定評価をレベル5とした。レベル5とは「施設外に影響を及ぼす事故」であり、米国スリーマイル島の原発事故にならぶ。それを超える事例は86年、旧ソ連で起こったチェルノブイリ原発の事故(レベル7)しかない。「広島に投下された原子爆弾500発」に相当する放射性物質を飛散させた、原発史上最悪の事故だ。

 そのイメージを想起してしまうのか、東京でもちょっとしたパニック現象が起こっている。英語情報が限られている外国人ならいざ知らず、人体に影響を及ぼさない微量の放射能しか検知されていない東京に住む日本人のなかにも、西日本の親戚に子供を“疎開”させたり、東京脱出するかどうかで思い悩んだりする人たちが少なからずいる。

事故に命がけで対処する作業者の存在を
強く意識し、感謝し、尊敬すべき

 この事故の原因と対策は非常にシンプルだ。原因は想像を絶した津波だ。本来なら原発事故に際して機能するはずのバックアップの仕組みが全く機能しなかった。海水をかぶり電源を喪失してしまったからである。

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財部誠一 [経済ジャーナリスト]

1956年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、野村證券に入社。同社退社後、3年間の出版社勤務を経てフリーランスジャーナリストに。金融、経済誌に多く寄稿し、気鋭のジャーナリストとして期待される。BS日テレ『財部ビジネス研究所』、テレビ朝日『報道ステーション』等、TVやラジオでも活躍中。また、経済政策シンクタンク「ハーベイロード・ジャパン」を主宰し、「財政均衡法」など各種の政策提言を行っている。


財部誠一の現代日本私観

経済ジャーナリスト・財部誠一が混迷を極める日本経済の現状を鋭く斬るコラム。数々の取材から見えた世界情勢を鋭く分析するとともに、現代日本にふさわしい企業、そして国のあり方を提言していく。

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