経営×経理

2012年頃に登場し、わずか5年で全法人の約4分の1以上、個人事業主と合わせて100万を超える事業所が導入している「クラウド会計」。本連載は税理士と公認会計士がインタビュアーとなり、クラウド会計を活用して生産性を上げている企業の事例を紹介する。

第2回は、クラウド会計の導入によって業績を大幅にアップさせた福岡県糸島市の株式会社OKK FOODSの事例を、同社の会計事務所である株式会社クラウドコンサルティングのCOO・高島卓也氏に紹介していただく。

(構成/加藤年男 写真/竹内洋平 写真提供/株式会社OKKFOODS)

クラウド会計の導入で売上2倍!
オーナー自ら「営業や集客に動く時間」を捻出

 OKK FOODSは、キムチの製造・直売や飲食店への卸販売のほか焼肉店2店を経営する、従業員9名(パート含む)の会社である。

土井貴達[公認会計士・税理士] クラウド会計の導入で、業績にどんな変化が起こりましたか。

高島卓也(たかしま・たくや)
株式会社クラウドコンサルティング代表取締役COO。九州最大の会計事務所「税理士法人アップパートナーズ」、事業再生のコンサル企業などを経て独立。中小企業の業務効率化や創業時のITやクラウドサービスツールの活用支援に特化し、経営のアドバイスを行なう。また、地方創生に取り組むクラウド活用の専門家としても知られ、各地より相談、登壇の依頼を受ける。JMAA認定M&Aアドバイザー受講修了。中小企業庁委託事業ミラサポ登録専門家。福岡県中小企業振興センタービル登録専門家。

高島卓也[株式会社クラウドコンサルティング代表取締役COO]  導入して1年あまりですが、売上が少しずつ伸びて2016年末の12月期決算では前年対比で約12%増。12月単月で見ると売上は前年対比200%です。来期は新店舗の売上が丸々寄与しますから、通期で150%は伸ばせると見ています。

土井 効果が如実に数字に現われていますね。

米津良治[税理士] 新店舗だけでなく、既存事業でも売上が伸びているのがポイントですね。その理由はどこにあったのでしょうか。

高島 一番のメリットは、オーナーの時間が増えたことです(下図参照)。同社は、オーナーの奥さんが社長としてキムチの製造を受け持ち、旦那さんがオーナーとして売上などの管理を担当しています。直営店やネット販売に加えて市内のマーケットなどで委託販売しているのですが、その管理が極めて煩雑で時間がかかっていました。オーナーは当初、「営業や集客に自分が動きたいが、まったく余裕がない。時間を捻出する方策はないか」と悩んでいました。クラウド会計を導入した後は、営業に時間を割けるようになってキムチ卸の売上が伸びました。焼肉店のほうも、集客に手が回らない状態から、LINEを使った集客を始めて効果が上がっています。それまでは、フリーペーパーや集客サイトの担当者と打ち合わせする時間すら取れなかったんです。

Special Columns

土井貴達 どい たかみち

1973年生まれ。関西大学商学部卒。公認会計士・税理士。 土井公認会計士・税理士事務所代表。2012年に大手監査法人金融部を退所し、独立。 監査法人勤務時代に実施していた取引先企業への貸付金、有価証券の査定業務に係る監査、 コンサルティング業務などを通じてあらゆる業種に精通。 独立後も、企業融資のサポートを得意としている。 独立直後からクラウド会計の導入を始め、クライアント企業への導入サポートは数十社に及ぶ。

米津良治 よねづ りょうじ

1983年生まれ。上智大学法学部卒。税理士。税理士法人ファーサイト・パートナー。上場企業にてIR職、経理職等を経て現職。企業勤務時代に社内横断の業務プロセス改善プロジェクトの中心メンバーとして活動したことをきっかけに、業務効率化にこだわりを持つ。早くからクラウド会計の優位性に着目し、研究を開始。わずか1年で30社以上のクライアントにクラウド会計を導入した実績を持つ。

河江健史 かわえ けんじ

1979年生まれ。早稲田大学商学部卒。公認会計士。河江健史会計事務所代表、FYI株式会社代表取締役。 監査法人、証券取引等監視委員会等での勤務を経て現職。 「クラウド会計は人材不足に悩む中小企業の救世主」という思いのもと、クライアントへの導入を進める。 主な共著に『リスクマネジメントとしての内部通報制度:通報窓口担当者のための実務Q&A』(税務経理協会)、 『国税庁「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組み」徹底対応 税務コンプライアンスの実務』(清文社)、 『インドネシアのことがマンガで3時間でわかる本』(明日香出版社)などがある。


「クラウド会計」は経営の生産性をどれだけ上げるのか?

2012年頃に登場し、わずか5年で100万社以上の企業が導入している「クラウド会計」。GmailやDropboxがあたりまえのようにビジネスの現場に普及しているように、今後、会計・請求・給与・経費精算などのバックオフィス系だけでなく、 顧客管理や在庫管理などあらゆる経営リソースがクラウド化していくことは間違いないと見られている。本連載では、クラウド会計をどう活用するか、企業の事例を中心に『会計事務所と会社の経理がクラウド会計を使いこなす本』(ダイヤモンド社)の著者の3人の税理士がインタビュアーとなって紹介する。

「「クラウド会計」は経営の生産性をどれだけ上げるのか?」

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