経営×経理

2012年頃に登場し、わずか5年で全法人の約4分の1、100万社以上の企業が導入している「クラウド会計」。GmailやDropboxがあたりまえのようにビジネスの現場に普及しているように、今後、会計・請求・給与・経費精算などのバックオフィス系だけでなく、 顧客管理や在庫管理などあらゆる経営リソースがクラウド化していくことは間違いないと見られている。経営者や経理担当者にとって、クラウド化は、その是非自体を問う時期は終わり、「どう活用できるか?」を考える段階に入ったと言えそうだ。

一般的に、クラウド会計のメリットは、「業務効率が4倍になる」「資金繰りをタイムリーに共有することで経営分析や資金調達に役立つ」「社会保険料率や税制改正に自動対応するため業務効率が上がる」「自社が儲かっているか、キャッシュに問題がないか、取引先からの振り込みは完了したかなどの不安が一掃されて、“数字に強い社長”になれる」といったものが挙げられる。

とはいえ、まだ「どれだけのメリットがあるのか、よくわからない」というケースも多いのではないか。そこで本連載では、実際にクラウド会計を活用して生産性を上げている企業の事例を、税理士と公認会計士がインタビュアーとなって紹介していく。新しい「会計インフラ」の意義を知り、自在に操るための知見を身につけることができるはずだ。
(構成:加藤年男 写真:竹内洋平)

「300万円」が「0円」に
クラウド会計のコスト削減効果

 第1回は中小企業の100年経営をサポートし、顧問先約1600社すべてにクラウド会計を導入するトリプルグッド税理士法人を率いる近江商人・実島誠氏に、税理士が勧めるコストカット経営術を聞いた。

実島誠(みしま・まこと)トリプルグッド税理士法人代表理事。監査法人トーマツ、デロイト・トウシュ・トーマツ税務事務所(現税理士法人トーマツ)等を経て、1997年10月に開業。 Great Place To Work(R) Institute社が主催する「働きがいのある会社のランキング」では5年連続ベストカンパニーに選出。「第1回会計事務所甲子園」の優勝など、数々の受賞歴を持つ。一般社団法人BusinessIT推進協会の理事として、会計事務所業界へのICTの普及啓蒙にも力を入れている。

土井貴達[公認会計士・税理士] トリプルグッド税理士法人が、クラウド会計を導入したことで、顧問先企業にどのような変化が起こったのか、具体的に教えていただけますか?

実島誠[トリプルグッド税理士法人代表理事] まず経理の人件費が減りますし、入力をアウトソーシングしていた企業は、その費用がほとんどかからなくなるというコストカットの面がわかりやすい変化です。入力量がものすごく多くて、他の会計事務所に年間300万円くらい入力手数料を支払っていた会社が、うちの事務所に切り替えてクラウド会計を導入したら、その手数料がゼロになったという例もあります。

米津良治[税理士] ものすごいコストダウン効果ですね。ちなみに、それはどんな業種の顧問先ですか?

実島 年商が約20億円、従業員が100名弱の建設業の会社です。

Special Columns

土井貴達 どい たかみち

1973年生まれ。関西大学商学部卒。公認会計士・税理士。 土井公認会計士・税理士事務所代表。2012年に大手監査法人金融部を退所し、独立。 監査法人勤務時代に実施していた取引先企業への貸付金、有価証券の査定業務に係る監査、 コンサルティング業務などを通じてあらゆる業種に精通。 独立後も、企業融資のサポートを得意としている。 独立直後からクラウド会計の導入を始め、クライアント企業への導入サポートは数十社に及ぶ。

米津良治 よねづ りょうじ

1983年生まれ。上智大学法学部卒。税理士。税理士法人ファーサイト・パートナー。上場企業にてIR職、経理職等を経て現職。企業勤務時代に社内横断の業務プロセス改善プロジェクトの中心メンバーとして活動したことをきっかけに、業務効率化にこだわりを持つ。早くからクラウド会計の優位性に着目し、研究を開始。わずか1年で30社以上のクライアントにクラウド会計を導入した実績を持つ。

河江健史 かわえ けんじ

1979年生まれ。早稲田大学商学部卒。公認会計士。河江健史会計事務所代表、FYI株式会社代表取締役。 監査法人、証券取引等監視委員会等での勤務を経て現職。 「クラウド会計は人材不足に悩む中小企業の救世主」という思いのもと、クライアントへの導入を進める。 主な共著に『リスクマネジメントとしての内部通報制度:通報窓口担当者のための実務Q&A』(税務経理協会)、 『国税庁「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組み」徹底対応 税務コンプライアンスの実務』(清文社)、 『インドネシアのことがマンガで3時間でわかる本』(明日香出版社)などがある。


「クラウド会計」は経営の生産性をどれだけ上げるのか?

2012年頃に登場し、わずか5年で100万社以上の企業が導入している「クラウド会計」。GmailやDropboxがあたりまえのようにビジネスの現場に普及しているように、今後、会計・請求・給与・経費精算などのバックオフィス系だけでなく、 顧客管理や在庫管理などあらゆる経営リソースがクラウド化していくことは間違いないと見られている。本連載では、クラウド会計をどう活用するか、企業の事例を中心に『会計事務所と会社の経理がクラウド会計を使いこなす本』(ダイヤモンド社)の著者の3人の税理士がインタビュアーとなって紹介する。

「「クラウド会計」は経営の生産性をどれだけ上げるのか?」

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