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緊急連載:被災地に入ったボランティア医師の奮闘日誌

咳ひとつで広がる感染、眼の病気に悩む人たち…
今起こっている「心配なこと」
――被災地に入ったボランティア医師の奮闘日誌⑤

裴 英洙
【第5回】 2011年3月28日
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3月11日に発生した東日本大震災。多数の死傷者が出て、壊滅的な打撃を受けた被災地・石巻の赤十字病院へ、日本医師会が派遣する災害医療チーム「JMAT」(ジェイマット)の一員として派遣された30代医師の現場レポートを、可能な限りリアルタイムに更新していく。災害そして医療の現場で、日々何が起こっているのか。

小学校の救護室に設けた
簡易診療所

 3月26日、昨晩から降り続いた雪が積もり、朝から肌寒かった。

 だが、市内は津波で流された住宅の残骸と泥が多く、美しい銀世界とは程遠い。

 石巻日赤病院で開かれた朝7時のミーティングに出席した後、前日のチームからの引き継ぎ事項を掲示板で確認し、診療のため避難所に向かった。今回は、日赤病院2チームと合同での診療だ。

 避難所は、沿岸部近くの小学校だ。避難所本部のリーダーに話を聞いた後、どのような医療ニーズがあるかを調査。1チームは低学年教室を避難所としているエリアを巡回、もう1チームは高学年教室を巡回することになった。我々のチームは、校内の救護室で簡易診療所を開き、救護室まで自力で来られる被災者を診療した。

現住所の代わりに
「音楽室」「図工室」と記載された処方箋

 この避難所では、被災者は「音楽室の〇〇さん」「図工室の△△さん」と呼ばれていた。もちろん処方箋にも、そのように記入する。ここでは現住所がなく個人を特定することが難しい。

 とはいえ、患者に間違った薬を処方することは是が非でも避けなければならない。

 通常の病院のように今すぐ薬を処方できる体制なら問題ないだろうが、我々医療支援チームは限られた薬剤しか持参していない。現在のところ石巻赤十字病院の薬剤師が手配した薬を、後から運ぶ方法を取っているが、身分証も流されて避難所に来ている被災者をきちんと特定できないと、非常に危険だ。

 そこで、被災者に誤った薬が届かないよう、名前や生年月日、いつもいる教室の場所などをなるべく細かく処方箋に書くよう気をつけた。

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