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日本経済はなぜ最高の時代を迎えるのか?
【第13回】 2017年3月6日
著者・コラム紹介バックナンバー
村上尚己

トランプ経済は「レーガンの真逆」を目指す
トランポノミクスとレーガノミクスを比較してみる

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トランプ政権の経済政策については、1980年代の共和党レーガン政権の政策、いわゆるレーガノミクスとの類似性が指摘されており、そのためトランポノミクス(Trumponomics)といった言葉も登場している。しかし、そのような見方はあまりに表層的だ。トランポノミクスの本質はどこにあるのか?「トランプ相場」の到来を的中させた外資系金融マーケット・ストラテジストの村上尚己氏の最新刊『日本経済はなぜ最高の時代を迎えるのか?』から一部をご紹介しよう。

トランプは富裕層を優遇しない

トランプ政権の経済政策については、1980年代の共和党レーガン政権の政策、いわゆるレーガノミクスとの類似性が指摘されている。そのため、トランポノミクス(Trumponomics)といった言葉も登場している。

レーガン政権は「税率を引き下げても、税収は増える」というロジックを掲げ、所得税・法人税、キャピタルゲイン課税、土地関連の税率引き下げを実現した。また、サプライサイドを強化する規制緩和を進め、米国の経済成長を後押ししたことで知られている。同じ共和党のトランプ大統領も減税を打ち出し、民主党オバマ政権下で強化された金融・医療業界への規制を緩和する姿勢を見せている。こうした共通点があるのはたしかだ。

ただ、「トランポノミクスはレーガノミクスの再来である」との評価は、あまりにも表面的な見方であり、妥当なものとは言えない。

第一に、レーガン大統領が行った減税には、キャピタルゲイン課税引き下げなど、富裕層の所得を高めるものも含まれていた。これはサプライサイド、つまり企業の生産能力を強化することを狙った減税だが、結果的には所得格差を拡大させたことがわかっている。豊かな家計がより豊かになれば、国全体の経済成長もそれに牽引されるという前提があったようだ。

一方、現段階ではトランプ政権の減税には、こうしたメニューは入っていない。また、所得減税が一律に行われれば、富裕層にもその恩恵が及ぶだろうが、ムニューチン氏は明確に「中間所得層への大型減税は実施するが、富裕層に対しては減税しない」と述べている。所得控除制度の見直しを組み合わせて、中間層に恩恵が及ぶ減税政策が行われると予想される。

トランプ氏自身は不動産ビジネスで莫大な資産を築いてきた大富豪だが、政治家としては格差を縮小させる政策を重視すると見られている。ここには、米国で深刻化する格差問題に対する政治的配慮があるのかもしれない。

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村上尚己(むらかみ・なおき)

アライアンス・バーンスタイン株式会社 マーケット・ストラテジスト
1971年生まれ、仙台市で育つ。1994年、東京大学経済学部を卒業後、第一生命保険に入社。その後、日本経済研究センターに出向し、エコノミストとしてのキャリアを歩みはじめる。
第一生命経済研究所、BNPパリバ証券を経て、2003年よりゴールドマン・サックス証券シニア・エコノミスト。2008年よりマネックス証券チーフ・エコノミストとして活躍したのち、2014年より現職。独自の計量モデルを駆使した経済予測分析に基づき、投資家の視点で財政金融政策・金融市場の分析を行っている。
著書に『日本人はなぜ貧乏になったか?』(KADOKAWA)、『「円安大転換」後の日本経済』(光文社新書)などがあるほか、共著に『アベノミクスは進化する―金融岩石理論を問う』(原田泰・片岡剛士・吉松崇[編著]、中央経済社)がある。また、東洋経済オンラインにて「インフレが日本を救う」を連載中。


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