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イノベーション的発想を磨く

なぜ優秀で熱心な上司ほど部下を「指示待ち人間」にしてしまうのか

~『自分の頭で考えて動く部下の育て方』(篠原 信 著)を読む

情報工場
【第36回】 2017年2月4日
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カーナビに頼りすぎると、道順を覚えられなくなる

 最近、なかなか道を覚えられなくなったと感じている。ひんぱんに行く場所なら覚えていられるのだが、2~3回行った程度だと、どうやってたどり着いたのか、記憶が定かでないことが多い。誤解のないように言っておくが、これは決して老化で記憶力が衰えているのではない。カーナビやスマホに頼りすぎているのが原因だと思っている。

 スマホやカーナビがなかった時代には、初めて行く場所への車での経路を調べるのに、まず道路地図を広げた。そして、国道◯号線をどの方向に向かい、どの交差点でどちらに曲がって△号線に入り、どこまで走って……、というように、事前に最適なルートプランを自分で考えたものだ。それでも出発してから、途中で道を間違えることもある。

 そんな時は、地図を見直したり、通行人に尋ねたりしながら、とにかく自分で考えながら目的地にたどり着いた。そうすることで、一度行ったことがある場所への経路は自然に覚えられた。

 今は違う。カーナビに行きたい場所の名称や住所を入力して道順を検索し、あとはナビの指示の通りに運転していけば、何も考えずとも目的地に到着する。とても楽だが、その代わりに道順はほとんど覚えられない。なので、もう一度同じ場所に行こうとすると、再びナビに頼らざるをえなくなる。

『自分の頭で考えて動く部下の育て方』
篠原 信 著
文響社 288p 1380円(税別)

 どうやら我々は、他者の指示を受けてばかりいると、自分の頭で考えたり、新しいことを覚えられなくなってしまう生き物であるようだ。職場で、カーナビ依存のように自分の頭で考えられない部下に、手を焼いている人も多いのではないだろうか。

 本書『自分の頭で考えて動く部下の育て方』の著者、篠原信氏は、京都大学農学部で農学博士の学位を取得し、現在、国立研究開発法人「農業・食品産業技術総合研究機構」上級研究員、有機質肥料活用型養液栽培研究会の会長を務める生粋の研究者である。

 篠原氏は、水耕栽培(養液栽培)では不可能とされていた有機質肥料を使えるようにする栽培技術を開発。また、これに派生して、やはりそれまで不可能だった有機物由来の無機肥料製造技術や、土壌を人工的に創出する技術も開発した。その研究成果の一つは、「2012年度農林水産研究成果10大トピックス」に選出されている。

 こうした篠原氏の経歴は、本書のタイトルからすると、少々意外と感じられるかもしれない。

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浅羽登志也

情報工場シニアエディター。1989年、京都大学大学院修士課程修了後、リクルート入社。同社スーパーコンピュータ研究所にてインターネットに関する研究に従事。1992年、株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)に創業メンバーとして入社。インターネット黎明期からサービス開発・技術開発に携わる。IIJは、日本で最初にインターネット接続の商用サービスを開始したインターネットサービスプロバイダで2006年12月東証一部上場。1999年、IIJ取締役、2004年より2009年までIIJ取締役副社長。2008年より2015年までIIJイノベーションインスティテュート代表取締役社長。2015年7月よりIIJフェロー。情報編集にも興味を持ち、2007年より松岡正剛氏主催のイシス編集学校で松岡流編集術を学ぶ。現在イシス編集学校の師範を務める。2010年に軽井沢へ転居。自然農法で、自家用の蕎麦や大豆を栽培中。

 


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