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大震災後の日本経済は復活か、停滞か
マクロ経済分析で読み解く「不安要因と希望の光」
――熊谷亮丸・大和総研チーフエコノミストに聞く

2011年3月31日
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日本経済に深い爪痕を残した東日本大震災。福島原発事故などのリスクは依然として残るものの、足もとでは復興への気運も高まり始めた。過去のケースを見ても、大災害後には復興需要が大きく盛り上がる傾向がある。果たして、日本経済は復活できるだろうか? 今回の震災が日本経済に与える影響を精緻に分析した大和総研の熊谷亮丸・チーフエコノミストが、不安要因と希望の光を語る。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也、撮影/宇佐見利明)

くまがい・みつまる/大和総研チーフエコノミスト。東京大学大学院修士課程修了。1989年、日本興業銀行に入行。みずほ証券エクイティ調査部シニアエコノミスト、メリルリンチ日本証券チーフ債券ストラテジストなどを経て、現職。財務省「関税・外国為替等審議会」の委員をはじめとする様々な公職を歴任。過去に各種アナリストランキングで、エコノミスト、為替アナリストとして合計7回1位を獲得している。

――3月11日に発生した東日本大震災は、3月末時点で死者・行方不明者が3万人に迫る大惨事となった。しかし足もとでは、復興への気運も高まっている。過去のケースを見ても、大災害後には復興需要が大きく盛り上がる傾向がある。今回の震災が日本経済に与えるインパクトを、どう見ているか?

 まずは、今回被災された地域の関係者の皆様に、心よりお見舞いを申し上げたい。東日本大震災の被害額は、1995年1月に起きた阪神淡路大震災を上回る被害額(GDPの3%)と仮定した場合、約14兆3754億円に上る計算になる。被害額などの面で見て、過去最大級の大惨事であることは疑う余地がない。

東日本大震災は5つのルートで
2011年度の実質GDPに影響

 まず、実質GDPに対する具体的な「押し下げ要因」としては、被災地の経済活動低下、計画停電による生産減、消費マインドの悪化による個人消費の下振れ、円高の進行、そして原発事故による被害の拡大といった5つのルートが考えられる。

 たとえば、今年3月以降の3ヵ月間、被害が大きかった東北3県(岩手県、宮城県、福島県)の経済活動が25%低下すると仮定した場合、2011年度の実質GDPは▲0.2%程度押し下げられる可能性がある。また、計画停電が4月末まで続いた場合に起きる生産減の影響は、同▲0.2%程度と見ている。

 さらに、消費者マインドの悪化などによる個人消費の下振れが与える影響は同▲0.2%程度、円高ドル安が今より5円進行した場合の影響は同▲0.1%弱と見る。福島原発の被害が拡大した場合の影響については、予測不能なので試算は困難だ。

 これら5つのルートによる影響を考え合わせると、東日本大震災が2011年度の日本の実質GDPを押し下げるインパクトは、少なくとも▲0.7%以上になると考える。

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