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日本を元気にする新・経営学教室

危機におけるトップのリーダーシップ
非常時にリーダーはどう振る舞うべきか
早稲田大学ビジネススクール教授  内田和成

内田和成 [早稲田大学大学院商学研究科教授],加登 豊 [神戸大学大学院経営学研究科教授],成生達彦 [京都大学大学院経営管理研究部教授],髙木晴夫
【第9回】 2011年4月1日
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 今回の大震災を契機に、危機におけるトップのリーダーシップについて考えてみた。

 その要諦は、

(1)現状の問題(目の前の問題)を解決する、併せて
(2)その先を見据えた手を打っておく

 に尽きるが、これがなかなか難しい。

この人なら町を再生できると
感じさせるもの

 3月21日付の朝日新聞に掲載されていた南三陸町の佐藤仁町長のインタビュー記事には、今の緊急事態をどうしたら良いかについてこう書かれている。  

 たとえば「物資はいくらあってもいい」とか、あるいは「避難所にいる人だけが困っているわけではなく、幸い自宅が無事で自宅にいられる人間も買い物に行けずに困っている点では避難民であるから保護する必要がある。そういう人に物資や食料が行くように配慮しないとだめである」。しかし、こうした受け答えは、ちょっと優れたリーダーなら出来るだろう。この後に言っていることがふるっている。

 「ありがたいのは避難所ごとに自治組織が出来、そこでそれぞれのリーダーがいて自主的に行動してくれている。役所はそのサポート役で良い。これまで行政ではなく、住民全体で街作りをしてきたのでこういう人たちがうまくやってくれている」。これまで、彼がどんなリーダーシップを発揮してきたかが窺われる内容である。

 さらには「町の再生は難しい。それは津波に流された更地をもう一度区画整理しても、もう低地にすむのが嫌だと言って、そこに人が戻ってこなければ町は再生しない。道路や建物、インフラなどのハードの部分はお金をかければやれます。でも、こういう災害を受けて、なお、ここに住むかどうかという心の問題は、私たちではどうしようもないところがあります」、「町外、県外に出ようとする住民も出てくる。その受け入れ先も探さないといけない」。

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内田和成(うちだ かずなり) [早稲田大学大学院商学研究科教授]

東京大学工学部卒、慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空を経て、1985年ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。2000年6月から04年12月まで日本代表。09年12月までシニア・アドバイザーを務める。BCG時代はハイテク・情報通信業界、自動車業界幅広い業界で、全社戦略、マーケティング戦略など多岐にわたる分野のコンサルティングを行う。06年4月、早稲田大学院商学研究科教授(現職)。07年4月より早稲田大学ビジネススクール教授。『論点思考』(東洋経済新報社)、『異業種競争戦略』(日本経済新聞出版社)、『スパークする思考』(角川書店)、『仮説思考』(東洋経済新報社)など著書多数。ブログ:「内田和成のビジネスマインド

 

加登 豊(かと ゆたか) [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1953年生れ。78年3月神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程修了、86年4月大阪府立大学経済学部助教授、94年1月神戸大学経営学部教授、99年4月神戸大学大学院経営学研究科教授、2008年4月~10年3月経営学研究科長・経営学部長。『インサイト管理会計』『インサイト原価計算』『ケースブック コストマネジメント』『管理会計入門』など著書多数。

成生達彦(なりう たつひこ) [京都大学大学院経営管理研究部教授]

1952年生まれ。78年横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程卒業、81年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修学、89年米国ノ-スカロライナ州立大学大学院卒業(Ph.D.)、81年南山大学経営学部に就職、94年に教授、同年京都大学博士(経済学)、98年京都大学大学院経済学研究科教授、2006年京都大学大学院経営管理研究部教授、2008年~09年京都大学大学院経営管理研究部研究部長。主著に『ミクロ経済学入門』など。


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好評だった経営学教室の新シリーズ。新たな筆者お二人を迎えて、スタートする。国内市場は成熟化する一方、グローバル化は急速に進展し、新興国の勃興も著しい。もはや、自ら新たな目標を設定し、ビジネスモデルを構築しなくてはいけない時代に突入している。日本企業に漂う閉塞感を突破するには、何がキーとなるのか。著名ビジネススクールの気鋭の教授陣が、リレー形式で問題の所在を指摘し、変革のヒントを提起する。

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