2020年代に起こる就活の地殻変動とは?

 2020年代を通してAI×ロボット革命が進むにつれて事務系の処理仕事がなくなっていきます。

 加えて、オリンピック開催後のギリシャや中国がそうだったように、東京五輪後の日本の経済は、宴のあとの状態で沈み込むはずです。

このダブルパンチを受けて就活においても、首都圏では、私立大学卒業生のメインの就職先だった伸び盛りの中堅・準大手企業に、国公立の卒業生が押し寄せることになるでしょう。

 また、全国各地で、地方大学卒業生の定番だった地方の有力企業や公務員の求人枠に、エッというような東京や関西の有名大学から学生が攻め込んでくるということが起こると思います。就活の地殻変動が起こる。

 新卒だけでなく、中途採用でも同じです。

 でも、意外にもこの流れが、多様な人材を地方に呼び込むことになって、本当の意味での地方の活性化が図られるかもしれません。だから、悪いことばかりじゃない。

 「地方創生」という言葉が流行ったけれど、僕の経験では、東北の石巻市雄勝(雄勝石を使った時計をプロデュース)でも、佐賀県武雄市(武雄市特別顧問)でも、移住して住んだ奈良市でも、地元の人材だけではなかなか大きな仕掛けはできないものです。人材については、地産地消だけでは無理なんですね。だから、こうした流れは良い知恵が生まれるキッカケになります。

ここで、2020年代に起こる地殻変動に対して、強いと思われる職種を2つだけ挙げておきましょう。それは、観光とプログラミングです。

 極端な円高にならない限りですが、日本を訪れる観光目的の外国人(いわゆるインバウンド)は増え続けると予想されます。それは、海外旅行を楽しめるほど収入があるアジアの中間層が、現在の数億人規模から2030年までに20億~30億人に達するだろうと試算されているからです。

 観光業での生き残りは国家戦略の1つに位置づけられていますし、インバウンドで外国人が日本国内で使ってくれるお金は、かつて加工貿易立国だった頃に輸出で稼いだ外貨と同じ意味を持つのです。

 一方、プログラマーが足りなくなるのは言うまでもありません。プログラミングを理解しているかどうかは、2020年代には、かつての「英語ができるかどうか」と同じ意味を持つことになるでしょう。

 だから、一条高校には、図書館の奥にリクルートのスタッフが詰めて「一条観光倶楽部(IKC)」と「一条プログラミング倶楽部(IPC)」を運営することにしました。関心のある生徒が、学科や部活の壁を超えてゼミのようにプロから学べるようにです。

 2020年代に若者に厳しい現実が押し寄せるのには、じつはもう1つ理由があります。社会に対する若者の負担が増えてしまうという問題です。

 人口割合として、お年寄りが増え、若者が減ることは明らかです。このままでは社会保障が破たんするから、消費税が15%程度にはなると僕は予想します。

 これについては、2020年代の年代別人口動態の推移を踏まえれば、十分納得がいくでしょう。

 つまり、三重の衝撃、トリプルパンチなんです。