東日本大震災による倒産が初めて報じられたのは3月25日のこと。倒産したのは福岡のイベント企画会社で、人気バンドの公演が中止になったことなどが影響したとされる。未曾有の天災により、中小企業は今、どのような状況に立たされているのか。

 震災により直接または間接的に被害を受けた中小企業は約8割に上るというアンケート結果を発表したのは「東京中小企業家同友会」(東京都豊島区)。アンケートからは、具体的な被害状況も明らかになった。

 アンケートは3月26日10時に発表。同会の会員、301社が対象。

「3月だけで1000万円以上の
売り上げ減」など深刻な打撃も

 アンケートによると、震災で「直接被害」を受けたと答えたのは全体の21.6%、「間接被害」を受けたと答えたのは58.8%だった。

「直接被害」の内容は、「機械の一部被害、受注量の減少、イベントの中止」「工事現場の中止、燃料の取得困難」、「教育サービスで、すべての日程で授業が休講になった」など。

 中には「高価なものではないが、プリンタが1台落下して使用不可に」と、比較的、被害規模の小さいと思われる回答もあったが、おおよその被害金額を申告している回答の中には「工場の道路に面した壁にひびが入り、修理費が100万以上かかる予定」、「ブリキ材料・製品の落下による破損で、金額的には数百万円の損害」、「外国人(客の3分の1)の宿泊客がすべてキャンセル。3月だけで1000万円以上の売り上げ減」など、深刻な打撃を窺わせるものもあった。

「間接被害」で多いのは「計画停電」「取引関係」「材料関係」によるもの。「計画停電」では、「工場が稼働できず、納期遅れが生じている」、「ガソリン不足はだんだん解消すると思うが、計画停電による人員のシフトが大変」、「計画停電が計画通りに実施されないために、予定がたてられず、また作業に集中できずにいる」など、対応に追われる現場の声が聞こえてきた。

「取引関係」では、「大手企業が動かないので仕事の受注が鈍くなった」、「取引先の来期(4月以降)予算が大きく変わるため、(中略)来期の弊社業績は大きく落ち込むものと覚悟している」など。受注先からの影響を危惧する声は、今後ますます大きくなりそうだ。