ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
野口悠紀雄 未曾有の大災害 日本はいかに対応すべきか

供給ショック時の経済政策の目的は、総需要の抑制

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第8回】 2011年4月8日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 大災害が経済活動に与える影響には、つぎの2つのものがある。

 第1は、災害によって生産設備や社会資本などが破壊され損傷し、生産力が落ち込むことである。これは、経済の総供給を減少させる。このフェイズは、通常は震災後の数ヵ月間、あるいは1年程度続く。ただし、今回の東日本大震災では、電力制約が長期にわたって続くと考えられる。

 第2は、復興のために巨額の投資が行なわれることである。投資は、企業の設備投資、住宅投資、社会資本に対する投資で生じる。これは、需要の増加を意味する。このフェイズは、震災後数ヵ月たってから始まり、数年間続く。

 経済に極めて大きなショックが生じたとき、どのような過程を辿って回復するかを、概念図として、【図表1】に示す。

 この図において、フェイズ1は、ショックによる経済の落ち込みを示す。フェイズ2は、落ち込みからの回復過程である。このフェイズは、供給面の制約があるかないかで、大きく変わる。なければ、復興のための投資が有効需要となって経済を拡大させる。しかし、制約があれば、復興投資はクラウディングアウト(希少資源の奪い合い)を引き起こす。フェイズ3は、最終的な均衡に至る段階である。

 図に示すもののうち、東日本大震災、第1次石油ショック、戦災は、供給面で生じたショックである。これに対して、数年前の世界経済危機は、需要面で生じたショックである。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

------------最新経済データがすぐわかる!------------
『野口悠紀雄 使える!「経済データ」への道』


野口悠紀雄 未曾有の大災害 日本はいかに対応すべきか

3月11日に発生した東日本大震災。その人的被害が凄まじいのはもちろんのこと、その後の日本経済に対しても長期的に深刻な問題を与えることが懸念される。こうした状況を乗り越えるために、日本はどう立ち上がるべきなのか。

「野口悠紀雄 未曾有の大災害 日本はいかに対応すべきか」

⇒バックナンバー一覧