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エコカー大戦争!

日系部品産業が直面する震災後の現実
高品質だけでは食い止められない
世界の自動車メーカーの「日本離れ」

桃田健史 [ジャーナリスト]
【第77回】 2011年4月11日
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 「プリウスのディーラー在庫が足りない」

 2011年4月7日、ダラスオートショーの場で、米国トヨタ営業本部の米国人関係者が筆者に漏らした。

米ダラスオートショー(2011年4月7日プレスデー)の会場。トヨタのブース中央には、「プリウスV」(日本のプリウスアルファ)」。その周りには、「プリウス」、「プラグインプリウス」が並ぶ。大型車販売が多いテキサス州で、トヨタはハイブリッド車の普及を狙う。

 「いや、これはけっしてアースクエイク(地震)の影響ではない。ガソリン価格が上がっているからだ。ただし、アースクエイクによる様々な影響で、プリウスを含めて、トヨタ各車(の製造と入荷)が今後どうなるか、我々には全く予想がつかない。言えることは、アメリカではいま、ユーザーは燃費の良いクルマを買いたがっているということだ」と、続けた。

 その言葉を受けて筆者は、アメリカのガソリン需給の実情を肌で感じたくなった。そこで、ヒューストンに向かった。現在、アメリカの原油供給の内訳は、国外(カナダ、中東、中米、南米)から約60%輸入、残りの約40%は自国産で産油地はテキサス州、アラスカ州、カリフォルニア州だ。なかでもメキシコ湾岸の海底からの採掘量が多く、テキサス州ヒューストンを中心に石油関連施設が多い。

ヒューストンの南部、メキシコ湾岸に隣接する石油精製所の街「テキサスシティ」。米国に5箇所あるBP社の製油所のなかでも最大規模。空は快晴だが、工場周辺はつんと鼻をつくような特殊な臭いがした。

 ダラスからヒューストンへは、フリーウエイ45号線を平均速度70マイル(約112km/h)で南下し、約4時間の道のりだ。ヒューストンの市街地周辺に「石油の街」の面影は感じられない。だがフリーウエイ45号線をさらに30分程南下、NASA・ジョンソンスペースセンターへの誘導路、NASA パークウエイ出口を過ぎ、さらに15分程南下。すると、フリーウエイの左手に、1200エーカー(485万㎡/14.6万坪)の巨大石油精製施設が見えてくる。

 ここが、大手石油企業BP社内で最大規模の製油精製所がある街、テキサスシティだ。現在、29基の精製装置と4基の化学処理施設があり、毎日46万バレル(ガソリン1100万ガロン分=全米需要の3%)の精製を担っている。テキサスシティの人口4万人のうち、約4000人が同社の従業員だ。住宅用地から精製施設までは約2kmある。筆者は精製施設の近くで写真撮影をしたが、鼻をつく独特の臭いがして、その場に長くいる気がしなかった。

 テキサスシティへの原油供給は海底のパイプラインが主体だ。海底の石油掘削について調べるため、湾を挟んで向かいにあるガルベストン市に向かった。同市は細い半島形状をしており、その南側はビーチリゾートで、北側は小さな漁村、カリブ海リゾート観光船発着所、そして石油掘削用施設の改修ドックが並存している。

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桃田健史 [ジャーナリスト]

日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなど米国レースにレーサーとしても参戦。自動車雑誌に多数の連載を持つほか、「Automotive Technology」誌(日経BP社)でBRICs取材、日本テレビでレース中継番組の解説などを務める。1962年生まれ。著書「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」好評発売中


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