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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

「よい節電」と「まずい節電」
――熊野英生・第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト

島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]
【第18回】 2011年4月13日
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忍び寄る需要下振れのリスク

 震災から1ヵ月が経って、先行きの不安材料がはっきりと見えてきた。震災や津波で操業停止した工場・店舗が復旧しても、GDPの水準が元に復元しないリスクである。

 詳しく述べると、震災が経済成長に与える影響は、需要と供給のうち、もっぱら供給サイドへのショックと見られやすい。サプライチェーンの途中段階に、被災した工場があると、加工度の高い自動車・電機メーカーの生産がストップする。この状態は、部品の生産が再開されると元通りになると考えがちである。

 しかし、そこには「伏兵」が潜んでいる。工場の生産がストップした状態が長期化すると、企業収益は悪化する。企業の稼働率が落ちて、固定費負担が高まるからだ。

 経常利益が悪化すると、その次に雇用削減・設備投資抑制へと波及して、日本経済全体の需要水準が低下する(図表1参照)。こうした“二次被害”が発生するとき、供給サイドの復旧ができても、需要減退によってデフレ作用が働く。実質GDPが元の水準に戻るのに、長い時間を要することにならざるを得ない。

 今のところ、四半期ごとの景気シナリオは、2011年1-3月、4-6月と連続してマイナス成長になった後、7-9月からどうにか前期比プラスに転じるという見通しである。東日本大震災が起こる手前の実質GDPの水準に復帰するのは、2011年末になってからである。

 もっとも、このシナリオでも、需要下振れを過小評価している可能性がある。過去、需要が一気に落ち込んだ事例を振り返ると、多くの場合、リバウンドの後、実質GDPの水準に復するのに時間を要した。

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島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]

しまもと・こうじ/1990年、東京大学卒業、日本興業銀行入社。調査部門で金利分析や経済予測を担当。2000年からBNPパリバ証券で投資調査本部長兼チーフストラテジストとして金融市場予測を担う。日本経済新聞社の債券アナリスト・エコノミスト人気調査の債券部門では06、08年に1位。金融庁の金融市場戦略チームや金融税制研究会、行政刷新会議の事業仕分けなどに参加。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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