発生直後から指摘されていた
「レベル6」の可能性
ようやく日本政府がレベル7を認めた。だが、残念ながら遅すぎた、あまりに遅すぎたのだ。その「敗戦」を認めるのが――。
少なくとも今回の事故が、その発生直後から、レベル6の事故に発展する可能性のあることは一貫して指摘されてきた。
筆者自身は原子炉に詳しくない。だが、原子炉の構造や過去の同種の事故を知っている者に直接取材をし、そのほとんど全員が、当初から口を揃えてそのように指摘していたことで、この事故が政府や東電、さらには大手マスコミなどの言うような軽い事象では済まされないことに気づいたのである。
私はすぐに取材を開始した。と同時に日本人として、この事実を広めなくてはと決心したのだ。
本コラムやラジオあるいはツイッターなどで私の発言を知っている方々はご理解いただけるだろうが、結果として私の役割は、「最悪の事態(レベル7)」にならないために、政府や東電に直接訴えかけること、さらには彼らの隠している情報を暴き、住民や国民に提供することにあった。
ちなみに、3月16日の午後の取材メモにはこう記されている。
【再臨界の可能性。1号機、3号機の建屋爆発は重大事態。原子炉、冷却できず、燃料棒のメルトダウン。格納容器? 絶対的に壊れないというのは嘘? 3号機、MOX燃料。ヨウ素、セシウムが検出されれば、普通にプルトニウムも放出されている? 作業員への健康チェック。最低30キロ圏外への住民避難。妊婦、赤ちゃん、思春期前のこども、緊急避難が不可欠。最悪の場合 チェルノブイリ化(石棺?)も】
正直に告白すれば、この時点での私はまだ原子炉についての知識を持ち合わせていなかった。そのためか、このメモにも、原子力の専門用語に疎い部分が窺える。