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消費者のココロのスイッチを押すしかけ

[事例研究]売上が前年比120%!クノールカップスープ“つけパン・ひたパン”キャンペーン【後編】

藤田康人 [インテグレート代表取締役CEO]
【第7回】 2011年5月10日
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 前回に引き続いて、クノールカップスープのトリプルメディアプロモーションについて今回はその具体的施策と成果についてお話します。

朝、スープを摂ることの
健康価値

 PRでは、はじめにクノールの研究者が長年かけて実験してきたスープに関する研究データを開示していただくミーティングを何度か持ち、その研究データの中でも、いくつかメディアにとってのメリットや新しく見える研究データを抽出しました。一方で、朝と食事に関連する課題を抽出しようと過去のメディアの報道やそれに類する書籍などから情報を収集し、クノール側できちんとしたエビデンス(根拠・証言)を持っているスープの健康機能などの研究データと、メディアが興味・関心を持つであろうテーマを導き出しました。

 そのテーマは「朝の欠食による身体的な不調の原因」と「朝、スープを摂ることによって、身体の体温が上がり、身体が活性化することができること」。また、広告との連動を考え、スープに関する健康情報だけではなく、パンとスープを一緒に摂るメリットについても検討を重ね、事実情報の掘り起こしをしました。書籍や文献調査によって、東大に合格した子どもたちが何を食べているのかを調べた料理研究家の研究データを見出したり、低体温のデメリットや、朝体温を上げることでメリットを持つと考えている研究者へのヒアリングも行いました。朝、パンとスープを一緒に摂ることが、どのような効果をもたらすのか、科学的な裏づけを探っていったのです。

 さらにオピニオンだけではなく、健康雑誌や女性雑誌、テレビの特集番組のディレクターなどにも、われわれの仮説テーマをぶつけ、感触や反応を確認しました。メディアからは「健康情報をストレートに取り上げることが最近少なくなっているし、生活者も飽きている。それよりは、朝、忙しい時間にパンをスープにつけて食べたり、パンとスープをアレンジメントして食べる食生活は面白いし、取り上げる価値がある」などのアドバイスをいただくことができました。それらを通して、最初の仮説からストーリーを再検証し、最終段階として、生活者へのインタビュー調査を再度実施しました。対象者は普段スープを摂らない人たち。われわれが考えている仮説のストーリーをあててみることで、態度が変容していく状態を確認し、自分たちが考えるストーリーとコンテンツ(情報内容)が効果を持って、発信できるレベルのものになったことを確証しました。そして、「情報クリエイティブ」の一連の作業を終えて、メディアなどに伝達する「情報ファイル」が完成です。

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藤田康人 [インテグレート代表取締役CEO]

慶應義塾大学を卒業後、味の素株式会社を経て、92年、フィンランド人の社長と二人でザイロフィン ファーイースト社(現ダニスコジャパン)を設立。素材メーカーの立場から キシリトール・ブームを仕掛け、キシリトール製品市場はゼロから2000億円規模へと成長。07年、株式会社インテグレートを設立し、代表取締役CEOに就任。著書に『どう伝わったら、買いたくなるか』『99.9%成功するしかけ』 『漂流する広告・メディア』講演活動も行っている。integrateGroupウェブサイト:http://www.itgr.co.jp/

 


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