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消費者のココロのスイッチを押すしかけ

[事例研究]売上が前年比120%!クノールカップスープ“つけパン・ひたパン”キャンペーン【前編】

藤田康人 [インテグレート代表取締役CEO]
【第6回】 2011年4月26日
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 今回は、ユーザー視点での情報開発から、トリプルメディアを駆使しての広告、PR、ウェブ、店頭での統合型プロモーションが見事に連携して、売上で前年比120%の結果を出した味の素「クノールカップスープ」の“ココロのスイッチを押すしかけ”についてお話します。トリプルメディアとは連載第1回でも述べたとおり、①ペイド(買う)メディア:企業が広告費を払って露出する、②アーンド(得る)メディア:第三者情報として信用や評判を得られる、③オウンド(所有する)メディア:自社サイトなど企業が直接所有する、の3つに分類する考え方で、昨今のマーケティングのキーワードの一つといえるものです。

どうすれば
ユーザーとの絆が強まるのか

 「クノール」は日本に入って46年の歴史をもち、ブランド認知度もほぼ100%、スープカテゴリーを代表するロングセラーブランドです。その主力製品である「クノール カップスープ」は、1973年、味の素から日本初のインスタントスープとして発売され、以降その「手軽さ」と「おいしさ」から38年間、ロングセラー商品として愛されてきました。しかし、38年間、順調に一貫して売上を伸ばしてきたのではなく、過去幾度もの成長と停滞を経験してきたといいます。  

 3度目の停滞期であった1990年代終盤、インスタントスープをコーヒーやカフェオレのように、よりカジュアルに、また、朝だけでなく、より幅広いオケージョン(状況・場所)で飲んでもらえれば新たな成長の機会が得られるのではと考え、製品面ではスープのとろみを落とし、オケージョンも「スープブレイク」を訴求した「スープドリンク」戦略へと転換を図りました。しかし、この大きなポジショニング変更は裏目に出て売上はダウン、顧客がスープに求めるのはやっぱりスープであり、ドリンクではなかったと考えられます。 

 売上がなぜ落ちたのか、消費者はスープに何を求めているのか、当時の担当者は、発売以来のマーケティングプランを洗いざらい見返し、議論を尽くし、その試行錯誤の中から「スープの基本価値」という概念が生まれました。

味の素 食品事業本部 加工食品部 山口敬司専任部長

もともとパンとの
相性は最高

 「スープの基本価値」とは、スープは肉や野菜を時間をかけて煮込んでいるもので、そこにおいしさと栄養が詰まっていて、心もからだも温めてくれるやさしい食べ物である、というものです。この「スープの基本価値」を戦略の中心に据え、マーケティングを行い、売上は再び上昇に転じました。しかし、数年後、また成長は鈍化し、その傾向は続いていきます。クノールのマーケティング責任者である味の素株式会社食品事業本部・山口敬司部長は、こうした現状を打開するために「ユーザーとの絆をいかに強くするか。そして生活シーンの中に確固としたポジションをどう築いていくか」を大きな課題と捉えていたといいます。

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藤田康人 [インテグレート代表取締役CEO]

慶應義塾大学を卒業後、味の素株式会社を経て、92年、フィンランド人の社長と二人でザイロフィン ファーイースト社(現ダニスコジャパン)を設立。素材メーカーの立場から キシリトール・ブームを仕掛け、キシリトール製品市場はゼロから2000億円規模へと成長。07年、株式会社インテグレートを設立し、代表取締役CEOに就任。著書に『どう伝わったら、買いたくなるか』『99.9%成功するしかけ』 『漂流する広告・メディア』講演活動も行っている。integrateGroupウェブサイト:http://www.itgr.co.jp/

 


消費者のココロのスイッチを押すしかけ

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