都道府県議会の機能不全を象徴するような様々な現象が、統一地方選前半戦で起きている。議会の存在意義を見い出せない有権者と存在意義をアピールできない候補者が生み出した現象だ。

 41の道府県で実施された議会選挙は大震災の影響もあり、戦後最低の平均投票率(48.15%)に終わった。住民と直に接する市町村とは異なり、都道府県はいわゆる間接行政体。住民にとっては馴染みが薄く、都道府県議会になるとさらに遠い存在となっている。投票率は市町村議会選挙のそれを常に下回る。住民には都道府県議会の役割や議員の顔が見えない状態が続いている。今回の統一地方選で投票率は初めて、40%台に落ち込んだ。過半数を割ったのだ。民意を示さずにいる有権者の方が多数派という由々しき事態である。

 だが、看過できない点は投票率の低落だけではない。定数を超える立候補者が現れず、選挙そのものが実施されないケースが増えているのである。無投票当選者の増大だ。41道府県議会の総定数2330に対し、今回、無投票当選者数は410人に達した。無投票当選率は17.6%となり、前回(07年)の16.35%を上回った。無投票の広がりは全国的な傾向で、無投票当選者が一人もいないという道府県はなく、大阪府(定数109人)の2人というのが最も少ない。無投票当選率が最も高いのは7割を超えた島根県で、定数37のうち、なんと26議席が投票なしで確定した。また、選挙区率でみると岐阜県が最も高い。岐阜県内27選挙区のうち、17選挙区が無投票に終わった。投票したくとも投票できない住民がたくさん生まれているのである。

 4年に一度の統一地方選挙でありながら、無投票選挙区が多く、選挙が実施されたところも低投票率というのが、都道府県議会選挙の実態だ。民意を反映しない、ないしは民意なき状態で、都道府県議会のメンバーが構成されつつある。地方自治の土台が崩れ始めているといえる。

 これまでならあり得なかった奇妙な現象が愛知県議選で起きた。愛知県議会の定数は103で、名古屋市内の16選挙区に計32議席が割り振られている。県議選の選挙区は16の行政区ごとで、名古屋市議選の選挙区と同一である。定数2が多く、1人区と3人区がともに3選挙区ある。