
塾業界30年以上のベテランであり、神奈川県の中学受験国語塾「中学受験PREX」の渋田隆之塾長と、企業が設立主体となり、全寮制の特色ある教育を行う海陽学園海陽中等教育学校の西村英明校長が対談。前後編の後編では社会にどのように貢献してほしいのか、学校運営の理念を詳しく聞いた。(国語専門塾の中学受験PREX代表、教育コンサルタント・学習アドバイザー 渋田隆之、構成/ライター 奥田由意)
故・葛西敬之氏(元JR東海名誉会長)が託した
「社会を変えるリーダーの育成」
渋田隆之先生(以下、渋田) 海陽学園は、勉強もしっかり教えながらも、大学進学という目先の目標ではなく、社会で活躍し、社会を変えていく大人に育てたいというところまで射程に入れて教育されていますね。
西村英明校長(以下、西村) 前編でもお話したように、将来の日本を引っ張るようなリーダーになる子を育てたい、それは、学校だけで育てられるのかという疑問が出発点にあり、家庭、地域社会を含めた教育の場を作りたいと始まった学校です。
私が校長になるときに、理事長だった故・葛西敬之氏(元東海旅客鉄道〈JR東海〉名誉会長)は「企業が母体の学校ではあるが、利益を上げるために運営しているのではない。われわれにとっては、将来卒業生たちが社会に出たときに、社会が利益を得る、つまり社会還元こそが利益なのだ」と言っていました。「学校の経営が(数字的に)どうということは全く考えなくていい、とにかく先を見てやりなさい」と。
渋田 具体的に、リーダーシップの涵養(かんよう)について、どのような取り組みをされているのでしょうか。