ふるさと納税への批判が一斉に起き始めている。その理由としては、本来の趣旨と離れた返礼品の過熱競争が起きて、東京都だけではなく、北海道函館市など地方の中堅都市の中にも税収減となる自治体が出てきていることや、増収になる自治体も返礼品への支出を差し引くと増収は半分程度にしかならないことなどが挙げられる。
寄付を受けるのは返礼品の“豪華さ”ではなく自治体の政策で競うように変えるべきだ、というような提言(「朝日新聞」社説2月27日)もなされている。だが問題はそれだけなのか。
7年で20 倍以上に膨らむ
「ふるさと」に「寄付」の狙いは?
ふるさと納税とは、自分が選んだ自治体に寄付(ふるさと納税)をした場合に、寄付額のうち2000円を超える部分について、所得税と住民税から全額が控除される制度だ(所得などに応じて一定の上限はある)。 そもそもこの制度の趣旨を考えると、「ふるさと」と「寄付」という2つのキーワードが出てくる。
総務省の「ふるさと納税研究会報告書」(07年10月)によると、この制度の趣旨は、「自分が生まれ教育を受けたが、その後は都会に出て働くことになったので、ふるさとの自治体には納税ができない。そこでお世話になったふるさとに、自分の意思で寄付ができる制度を作りたい」というものである。
背景にあるのは、たとえば東京と沖縄にある、人口一人当たりの3倍弱という地方自治体間の税収格差を、何とかしたいという考え方だ。