日本では、悲惨な医療事故が起こる度に、医療バッシングが起こり、医療不信に拍車がかかる。その度に「日本の医療はひどい」「欧米に比べて遅れている」等の声が聞かれる。先進主要国に比べ、本当に日本の医療はひどいのか、調べてみた。(多摩大学大学院教授、医師 真野俊樹)

日本人は自国の医療に
不信感を持ちすぎている?

 日本人ほど自国の医療に不信感を持っている国民はいない。2010年にロイター通信が報じた「医療制度に関する満足度調査」によると、日本人の医療満足度は15%で、これは世界の先進・新興22ヵ国中、最下位である。ちなみにトップは、スウェーデンの75%だ。

 また、カナダの調査(下表)においても、客観的データはほぼA評価であるのにもかかわらず、日本人の健康への自己評価は低い。

 その一方で、安倍政権では日本の「医療の良さ」を海外に輸出するとしているし、中国人を中心に日本に医療ツーリズムで訪れる患者も増えてきているようだ。果たして日本の医療レベルは高いのであろうか。そこを簡単に検証してみたい。