「辞めます!」と軽々しく
言ってはいけない理由

 一方、辞めるかどうか迷っている側の人は、迷っているうちは軽々しく「辞めます!」と言うべきではありません。前述したように、大半の人は会社に退職の意思を告げても迷いが残っているものですが、ここでは自覚的に「どうしよう……」と気持ちがふらついている人を「迷っている人」とします。

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 なぜ言うべきではないかというと、「辞めます!」と伝えたのに最終的に辞めず、会社に残るといろいろな不利益が生じやすいからです。会社側から説得されて残ったとしても、何かあるたびに「彼は一度、辞めると言った人間」というバイアスが働きます。率直に言えば、会社を裏切ろうとした人間として認識されるのです。

 だから、引き留める立場からお話したこととは相反しますが、転職しようとしている社員の立場から考えると、一度「辞めます!」と会社に告げたら、基本的に残らないほうがいいのです。

 会社や経営者にとって「辞めます!」は非常に重い言葉です。社員が会社側から「クビだ!」と言われることの逆だと考えれば、その重さがわかるでしょう。

 とくに中小企業経営者、オーナー経営者は社員に「辞めます!」と言われると、非常に傷つきます。理屈では「その社員のキャリアの方向性と自社の方向性が合わなくなった」とわかっていても、自分がすべて否定された気持ちになるのです。

 その意味でも軽々しく「辞めます!」とは口に出さないほうがいい。ましてお気楽に「辞めようかな」と軽口を叩いてもいけないのです。

(株式会社クライス・アンド・カンパニー代表取締役 丸山貴宏)