端的に言えば、「本州三社(JR東日本、JR東海、JR西日本)」とそれ以外の四社、すなわち「三島会社(JR北海道、JR四国、JR九州)+JR貨物」とで明暗がくっきりと分かれている。

 例えば、経常利益1.1兆円のうち、実に96%は本州三社で占められている。

 本州三社とそれ以外の四社の明暗を分けた理由には、もちろん30年間の経営力も含まれるのだが、それ以前の前提条件にもあった。

 ざっくり言えば、国鉄から譲り受けた「営業基盤」とその後の「金利環境の変化」である。

 まずは営業基盤についてだ。JR7社の発足時点の営業係数(100の収入を得るのに幾らコストが掛かるのかという目安)を見ると、本州三社の131に対して、JR北海道437、JR四国、JR九州、JR貨物405だ。本州三社も赤字ではあるが、新幹線と東京・大阪といった巨大マーケットを持っており収益化できそうなレベルだ。一方で、他の4社についてはコストが収入の3倍以上。黒字化を望むのは無理筋だ。

 次に、金利環境の変化についてである。

 稼ぐ営業基盤が与えられた本州三社は、売上高の4~5倍に匹敵する借金を背負わされた。例えばJR東日本でいえば、売上高1.6兆円に対して、6.6兆円の負債を背負わされた。

 一方、赤字路線ばかりの不利な営業基盤を押し付けられた三島会社には、国からの“持参金”として、それぞれ数千億円の経営安定基金が与えられた。その基金の運用益で本業の赤字を補填するように配慮されたのだ。

 ところが、30年前の政府の想定は大きく狂った。分割民営化時の金利は年7~8%だったが、今や低金利時代である。

 巨額の借金を背負わされたはずの本州3社は、どんどん借金を返済することができた。逆に、経営安定基金の運用益に依存する三島会社にとって、低金利は向かい風以外の何物でもなかった。

 結果として、本州3社は優良な営業基盤で稼ぎまくり、借金も速やかに返済し、劇的に財務体質が改善した。悲惨なのは、三島会社だ。稼ぐ武器を持たされることもなく、持参金も目減りするばかり。JR貨物は別の財務問題を抱えている。JR7社の体力格差は広がる一方である。

 JRグループが発足して30年。ここにきて、分割民営化の「光」よりも「影」の部分が目立つようになってきた。