R&D生産性は平均以下

 目的はコスト削減ではなくあくまでR&Dの生産性を高めることだと強調するが、社員にとってはリストラに等しいインパクトだろう。経営側は15年末から労働組合と協議を続けてきたもようだ。

 関係者によると、仏製薬大手サノフィから15年2月に武田へ移ってR&Dヘッドに就任したアンドリュー・プランプ氏は協議の過程で、「わが社のR&Dの生産性は平均以下だ」と指摘。「競争激化の下、このままでは事業継続できない」と危機感をあらわにし、組合に理解を求めたという。

 ヒット製品を生み出せなければ早晩経営が行き詰まるのは明らか。現に同社は後期開発段階にめぼしいものが乏しかったため、今年2月にがん領域に強い米製薬ベンチャーのアリアドを約54億ドル(約6200億円)で買収完了するなど、「重大なギャップの穴埋めを外部に求める」(同社関係者)策を続けている。

 変革の目玉である湘南研究所の研究員約1000人の処遇はまだ詳細不明だが、異動、転籍、退職などで約3分の1に減らす見通しだと関係者の間でささやかれている。

 武田は今月14日、産業革新機構などと共同出資する新会社も発表。かつて強みだった糖尿病などの研究開発品目を導出し、研究者約30人が転籍する。外国人が幹部の多数を占める武田だからこその大胆な変革ではあるが、人員に手を付ける変革はそうやすくはない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)