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山崎元のマネー経済の歩き方

新商品を育てるミルク補給の話

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第92回】 2009年8月31日
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 この問題の時効が何年なのか知らないし、時効が過ぎても悪いことは悪いのだが、筆者がかつてかかわった悪事の思い出について書く。バブルが加速しつつあった1980年代後半のある時期、筆者はある生命保険会社の特別勘定運用部で働いていた。これは、当時保険会社が販売に力を入れていた変額保険を運用する部署だった。

 運用商品としての変額保険は投資信託に似ているが、大手生保が売り始めてからしばらくの間、変額保険の運用成績は生保各社とも同類の投資信託をかなり(年率で10%以上)上回っていた。

 生命保険会社の運用が特に上手いなどということがあるはずもなく、これは、利益操作によるものだった。他社もおそらく同様だったのだろうと思うが、生保の「本体」ともいうべき一般勘定から変額保険を運用する特別勘定に利益を付け替えることでパフォーマンスをかさ上げしていた。目的は、変額保険の販売をサポートするためだ。利益を付けるためには、たとえば証券会社の協力を得て実質的に一般勘定を相手方として債券取引などで売買益を得るといった手段を使っていた。

 まだ20代の社員だった筆者は、この部署の会議に出て、今月は一般勘定から○○億円利益を移す、といった話を聞いていた。あまりやらないほうがいい、という程度のことは言ったかもしれないが、徹底的に反対して不正操作を止めるに至らなかったから、同罪だ。
 一度、新聞社に情報を提供して記事にしてもらって操作を止めようとしたのだが、掲載日がブラック・マンデーの大暴落を報じる日と重なって、この記事がまったく目立たなかった記憶がある。こうした記事が出ても、一般勘定からの「益移し」は止まなかった。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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