百貨店のプライベートブランドはなぜ上手く行かないのか写真はイメージです

百貨店のPBは
徐々に広がっているのだが…

 ブランドは、ショップブランドとグッズブランドに大別されます。ショップブランドには歴史のある老舗ブランドが多く、百貨店で言えば三越、高島屋、伊勢丹、大丸、松坂屋、東急、東武、西武、小田急等、歴史と伝統のある呉服系百貨店、電鉄系百貨店がその代表です。また、GMS(総合スーパー)においてもイトーヨーカドー、イオン、ユニー、イズミヤ等、そうそうたる規模を誇る小売業が名を連ねます。

 一方グッズブランドとは、バーバリーやラコステ、トロージャン(大丸松坂屋)やナンバートゥエンティワン(三越伊勢丹)、ラクチンシリーズ(マルイ)のような、商品に名前を付けているブランドです。ただし、バーバリーやラコステはともかく、総合小売業が作ったブランドは認知度が低く、企業名やアイテムすら消費者に知られていないケースがほとんどです。つまりブランディング(ブランドの育成)ができていないのです。

 直近の百貨店の売上は低迷しています。百貨店は売上回復のために自主開発商品(プライベートブランド商品、PB商品)を展開していますが、上手く行っているとはいえない状況です。

 確かに、百貨店のPB商品は徐々に広がりつつありますが、そもそも百貨店は委託・消化取引に慣れているので、その中では低いシェアにとどまっています。例外的にそごう・西武のPB商品の売上は1000億円あり、それなりに評価できるのですが、中核の衣料品トータルPBである「リミテッド エディション」のシェアはまだまだ低い状態です。

百貨店は総合小売業
テイストの絞り込みができない

 なぜ、百貨店のPBは上手く行かないのでしょうか。

 百貨店の強みは“総合”小売業です。つまり、店名イコール一つのテイストという絞り込みができません。その代わりに、様々なテイストを包含し、幅広いお客様に対応しています。