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海外ビジネス遭難防止ガイド

「組織」と「人の考え方」は輸出できない

白藤 香 [SPCコンサルティング株式会社(SPCCTOKYO) Labo所長]
【第5回】 2011年5月26日
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 日本の組織は90%が合議制を敷いています。その日本のユニークネスが、海外のビジネススクールでよく取り上げられますが、日本と海外では組織のあり方に大きな違いがあります。その違いは、多様性です。

 国内でマネジメント経験のない人が、海外で突然その立場につくことがありますが、そこで、さまざまな問題を経験することになります。欧米の組織運用の考え方を日本にそのまま導入すると、期待はずれな結果に終わるように、日本企業の組織運用の考え方を海外で導入しようとすると失敗してしまいます。

 今回は、多様性のある海外の現場とはどういうものかを紹介しながら、<When in Rome,do as The Romans do.> 郷に入れば郷に従え、人や組織に関わる考え方の輸出は難しい!というテーマで、日本企業の現地化にまつわる事例を紹介したいと思います。

一定ではない能力とスキル
異なる人材育成制度

■なんでこんなこともできないんだ

 多くの日本企業が、製造部門だけでなく、開発部門の海外展開を急いでいます。日本人の赴任者が痛感することは、現地スタッフの能力にばらつきがあることです。日本企業では、潜在的な能力を見込める人材を新卒でまとめて採用し、長期的な視点で成長するような教育制度が構築されています。日本人は、現地でも組織が均質な能力であることを前提として、仕事をしようとします。

 「これはどうやったらいいんでしょうか」

 「えっ、こんなこともわからないの? 今までの仕事でやったことないの」

 「ここまでの範囲は、やったことがありません」

 海外で技術開発の現場を展開するとき、経験者を採用する機会が増えます。そして能力の格差が日本より大きいという問題に直面します。

 海外へ開発現場を移転する時には、まずその国の教育水準を見極めなくてはなりません。一人の優秀な人材がいたとしても、その国の全体的な教育水準はどうなのか、日本と比較するとどうなのか、を判断しないと、チームで行う開発に時間とコスト面で大きな損失が発生します。

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白藤 香 [SPCコンサルティング株式会社(SPCCTOKYO) Labo所長]

学習院大学大学院経済学研究科博士課程後期単位取得満期退学(インセンティブ理論、組織の経済学)。ソニー、ルーセントなどの日米欧上場企業の本社・現地法人に勤務(IT通信電機、医療機器の分野)。その間、日本・米国(西部、東部)・台湾でマネジメント経験。2001年独立開業。大手シンクタンクや戦略コンサルタント会社と契約し、首都圏企業や官庁の複数プロジェクトを経験。 2005年法人化しLABOを設立。日本企業海外法人の勤務経験がある現地マネジメント&経営者インタビュー、各種“人事組織”調査、人材開発に関する効果測定分析などを企画実施。調査分析結果に基づき、SPCCTOKYO ブランドで、アセスメント、“専門職”研修、コンテンツ教材開発など人材開発企画、新人事制度設計研究や組織コンサルテーション&戦略企画立案などを行う。また調査研究の一部は著作物として発表。リーマンショック以降は、国内海外の企業や行政とプロジェクト契約し、新市場戦略や人事戦略を構築。著書に、『海外勤務を命じられたら読む本-グローバルマネジメント入門』(中経出版)がある。


海外ビジネス遭難防止ガイド

ソニー、ルーセントなどの日米欧上場企業の本社や現地法人、米国の西部・東部や台湾などでのマネジメントのほか、世界のさまざまな地域の多様な人々と仕事をしてきた経験から、グローバルなマーケットで収益性を高める秘訣を長年考察しています。日本企業の海外派遣は、大手企業の辞令組(マネジメント、主に総務・人事)とスーツケース組(現場)の2つにわかれますが、90年代は日本企業の海外法人立ち上げに、スーツケースひとつで参加、苦労の末、いろいろなノウハウを習得してきました。本連載では、日本人が苦手はグローバル・ビジネスでのノウハウについて、事例をもとに紹介していきます。日本企業にとってグローバル市場の開拓は急務です。「今どうしたらいいかわからない」と困っている企業やビジネスパーソンに向けて、差し迫ったビジネス課題がスムーズに進むよう、すぐに現場で役立つ情報をお届けしていきます。

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