ただ、要介護1、2の軽度者でも、認知症や知的・精神障害、家族による虐待、独居などで在宅生活が難しければ特別に入所が可能である。ところが、現実には特養側がこうした特例を考慮しないことが多く、認知症の人たちの入所が阻まれている。

 厚労省はこのほど、全国の自治体にこうした門前払いをしないように、わざわざ通知を出して注意を喚起した。

「量から質へ」ではなく「量も質も」であるべき

 やはり2006年の制度改革が痛恨の極みであった。もし、グループホームの開設の勢いがそのまま続けていれば、現在の利用者は2倍以上の50万人以上に拡大していたはず。特養並みの定員になる。

「認知症になったら大変」という恐れもかなり解消できていた。基本的に認知症は老衰に伴う自然な現象のひとつだろう。高齢になればなるほど、認知症の発症率が高まることで明らかだ。

 もちろん、初期の症状をできるだけ長く延ばすことで、自宅で日常生活を続けられるように支援することが重要である。そのために、家族を始め、地域や社会全体の理解が進むようにしなければならない。当事者が名乗りを上げて「こんなこともできる」と発信する意義は大きい。

 だが、症状の進行も確実であろう。どんなに重度になっても周囲の手助けが得られるという確信があれば、日々の心のあり方も相当楽になるはず。そのためにはグループホームがコンビニエンスストア並みに充実している姿が望ましいと思う。

 政府が鳴り物入りで2015年1月に発表した認知症の国家的総合戦略「新オレンジプラン」には、ほんの少ししかグループホームに触れていない。それも、通所介護や認知症カフェの推進と質の評価に言及するだけで、事業所不足との認識はない。「量から質へ」ではなく、「量も質も」であるはずだ。

(医療ジャーナリスト 浅川澄一)