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医療・介護 大転換

認知症高齢者の生活を守る「市民後見人」育成が急務のワケ

浅川澄一 [福祉ジャーナリスト(前・日本経済新聞社編集委員)]
【第54回】 2016年5月11日
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認知症高齢者などの「判断」をサポートする後見人

 この4月8日に成年後見制度の利用を広げるための「成年後見制度の利用促進に関する法律」が衆院本会議で成立した。共産党と社民党を除く民進党など野党も賛成した。6日に成立していた後見人の権限拡大を盛り込んだ「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」と併せ、同制度の見直しに本腰が入ったかのようにみえる。

 成年後見制度とは、成年後見人が認知症や精神障害、知的障害などで判断が十分にできない人に代わって、財産管理や日常生活の支援や対外的な契約などを代行すること。

 2000年度の介護保険制度の開始と同時に、民法を改正して発足させた。高齢者が介護保険のサービスを使うには、事業者と利用契約を結ばねばならないからだ。介護施設への入所契約の代行や悪徳商法から被害を防ぐことができる。

 本人や家族などが申し立て、家庭裁判所が後見人を指名する。誰でも後見人になれる。利用者(被後見人)は資産に応じて、月2万円から3万円ほどの報酬を後見人に支払う。資産がなければ自治体が肩代わりすることもある。

 制度がスタートして16年も経つが、利用者はあまり増えていない。2015年末時点での利用者は約19万1000人。認知症高齢者だけでも400万人以上いると言われ、あまりにも少ない。判断能力が不十分と見られる人たちの2%に止まっているとも指摘される。

 一人暮らしの高齢者、なかでも支援がすぐにでも必要な認知症高齢者の急増が予測され、後見人の育成が迫られている。そこで新法と改正法が生まれ、後見制度を拡大してより使いやすいようにしようという施策が始まった。新法は5月中に、改正法は秋までに施行される。

 民法にあった禁治産、準禁治産制度を衣替えしたのが成年後見制度。土地や預貯金などの財産を判断能力が十分でない人に代わって管理、処分できたが、介護保険制度の発足にあたり介護サービスの選択、利用も行政の「措置」から事業者との「契約」に変わったため、日常生活の支援を加えることになった。身上監護と言われる。

 2015年の成年後見の新規件数は3万4900件。最高裁が4月27日にまとめたその利用動機をみると、従来からの「預貯金の管理・解約」が最も多いが、次いで、「介護保険契約(施設入所のため)」で、3番目も「身上監護」となっている。

 「不動産の処分」や「相続手続き」などこれまでの禁治産制度にあった内容が項目として並ぶが、今や、日常生活の継続性を保証する制度へと変わりつつあることが分かる。特別な人だけでなく、認知症の人やその家族にとっては普遍化した制度となりつつある。

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浅川澄一 [福祉ジャーナリスト(前・日本経済新聞社編集委員)]

あさかわ・すみかず/1948年2月東京都中野区生まれ。東京都立西高校から慶應義塾大学経済学部に。1971年日本経済新聞社に入社。小売り・流通業、ファッション、家電、サービス産業などを担当。87年に月刊誌『日経トレンディ』を創刊、初代編集長を5年間勤める。93年流通経済部長、95年マルチメディア局編成部長などを経て、98年から編集委員。高齢者ケア、少子化、NPO活度などを担当。2011年2月に定年退社。同年6月に公益社団法人長寿社会文化協会常務理事に就任。66歳。

 


医療・介護 大転換

2014年4月に診療報酬が改定され、ついで6月には「地域医療・介護総合確保推進法」が成立した。これによって、我が国の「医療」「介護」大転換に向けて、第一歩が踏み出された。少子高齢化が急速に進む中で、日本の社会保障はどう大きく変革するのか。なかなかその全貌が見えてこない、医療・介護大転換の内容を丁寧に解説していく。

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