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元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術
【第4回】 2017年4月19日
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吉田利宏

合理性を養い生産性を上げるなら
リーガルマインドを身に付けよ!

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「働き方改革」が喧伝され、短時間でより多く成果をあげることが求められている。それを実現するカギとなるのが、合理的ものごとを進める思考力。それを身に付けるには法律を学ぶことがいちばんであることの理由を説明しよう。

リーガルマインドが
ムダな会議をなくす理由

 ある飲料メーカーがフルーツ牛乳発売50周年を記念して「大人の贅沢フルーツ牛乳」を限定発売しました(フィクションです)。社内的には、ちょっとした記念商品だったのですが、発売から1週間のデータから、従来のフルーツ牛乳の購買層とは異なる層に訴求できていることが分かったのです。フルーツ牛乳といえば、子どもとシニア層が主なターゲット。それがこの記念商品に限って、20代・30代の女性にも支持されていたのです。

 これを受けて、この飲料メーカーでは急きょ、企画部の主催で宣伝部と製造部を交えて会議を開くことになりました。忙しい中、緊急召集された総勢20人もの会議です。ところが、会議の目的が曖昧でした。ですから発言もそれぞれの部門でバラバラ。例えば宣伝部の若手女性社員は「自分たちにはフルーツ牛乳自体が新鮮だったのかも」という仮説を。製造部の課長は「定番商品とはコストが違います」という当然のことを。あとは各部で用意された資料の棒読みと、責任の生じない当たり障りのない発言ばかり。結局、会議を仕切った企画部次長も「もう少しパッケージが派手でもよかったかな」と感想めいたことを述べるだけで、何の結論も出ずに会議は終了しました。

 このように仕事の中の無駄といえば「会議」かもしれません。不要なたくさんの資料、読み上げるだけの説明、行なわれない本音の議論、挙句の果てには、些細な表現をめぐって、仲の悪い者どうしがののしり合う…。デスクにやっと戻れたときには、決まってこう思います。「やっと終わった…。それにしても、今日の会議の意味はなんだったの?」と。

 幸い、私自身はこんな会議を経験したことがありません。以前、勤めていた議院法制局でも会議が多かったのですが、いつも極めて合理的な運営がされていました。目的のはっきりしない会議なんてありませんでしたし、意味が不明確な発言はすぐにその場で真意が質されます。

 法律には、定めた目的があります。規定されている様々な措置はその目的を実現するためのものです。その目的は、法律の第1条に目的規定として書かれます。「どのような手段で」、「どのようなことを実現し」、そして、「どんな社会にしたいのか」が書かれています。よく、法律の目的規定は「手段・目的・究極の目的」を示すものといわれます。その法律に基づく措置は、直接、間接の違いはあっても、第1条に示された目的を実現するものといえるのです。

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吉田利宏(よしだ としひろ)

元衆議院法制局参事
1963年神戸市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、衆議院法制局入局。以後15年にわたり法律案や修正案の作成に参画。現在、著述、講演活動を展開。早稲田大学エクステンションセンター講師、自治体研修講師・各種審議会委員。
主な著書に、『元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術』(ダイヤモンド社)、『つかむ・つかえる行政法』(法律文化社)、『法令読解心得帖』、『法実務からみた行政法 エッセイで解説する国法・自治体法』(いずれも共著・日本評論社)、『新・法令用語の常識』(日本評論社)など多数。


元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術

「法律の勉強は難しい」と感じるのは、正しい学習法を知らないことに尽きます。「法律を覚えよう」とした時点で間違った道へ突入していたのです。
法律を通じて、得るべきものは知識ではありません。正義と公平のセンス(感覚)なのです。「リーガルマインド」と呼ばれるものがそれです。
しかし、多くのくの人がそれを体得する前に挫折してしまうのが現状です。そんな法律学習の世界に革命を起こすメソッドを公開します。

「元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術」

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