食は、どうなる。
【第4回】 2011年6月1日 足立直樹

食と流通~輸入食材に依存することの問題点

 今回の原稿は、出張先のタイで書いています。おいしいタイ料理やトロピカルフルーツを存分に食べることが出来ることが楽しみなのですが、それだけであれば、日本にいても同じことかもしれません。日本でも、今やタイ料理店はけっして珍しくありませんし、スーパーの店頭には世界中の果物が並んでいます。

 いや、タイに行ってこそ本場の味が楽しめるし、その場の空気、雰囲気を含めたおいしさがあるのだとか、取れたての新鮮な食材にはかなわないとか、それはいずれも正しい指摘ではあるのですが、居ながらにして世界中の食べ物を楽しむことができるのが、今の私たちの生活です。

 それだけではありません。日本の伝統的な料理、食材なのに、その原料を今や海外からの輸入に頼っているという場合もあります。例えば大豆は、醤油や納豆、味噌、豆腐などの原料となり、和食のもっとも基本的な素材と言ってもいいと思いますが、今やその95%は輸入された大豆です。日本で必要とされるだけの大豆を日本の畑では作りきれないという事情もありますが、やはり最大の原因は、海外で作って輸入した方が安いからでしょう。

 食事をする、さらには食べ物を手に入れるということは、私たちの生活のもっとも基本です。したがって、ついこの間までは、食べ物は自分たちで作ったり、あるいは自分の住んでいる場所のごく近所から集められていました。ところがこのわずか数十年の間に、私たちは海外の珍しい食べ物や、日本ではその時期には取れない食べ物、あるいは日本産のものよりずっと安い価格の食べ物を普通に口にするようになりました。

 しかしそんな状態が、果たして今後いつまで続くのでしょうか。私たちが海外の食料に依存することができるのは、輸送手段の発達と、その安い費用に支えられています。今後石油価格が大幅に高騰すれば、世界中の安いところから食料を買ってくるというこれまでのやり方は通用しなくなってしまいます。

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足立直樹

東京大学理学部卒、同大学院で理学博士号取得。国立環境研究所、マレーシア森林研究所(FRIM)を経て、コンサルタントとして独立。専門分野はCSR、環境経営、環境コミュニケーション。日本生態学会常任委員、環境経営学会理事、環境省生物多様性広報・参画推進委員会委員、環境省生物多様性企業活動ガイドライン検討会委員、国際NGOナチュラル・ステップ・ジャパン理事、サステナビリティ日本フォーラム運営委員などを務める。


食は、どうなる。

現在、私たちをとりまく食の背景には、安全性の問題や、気候変動の影響など、とても複雑な事情や問題が絡み合っています。私たちが食べているものを様々な視点から見て、私たちの命を支えている食の仕組みをあらためて考えてみましょう。

「食は、どうなる。」

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