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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

壁に阻まれる債券市場~国債増発がもたらす転換点
――島本幸治・BNPパリバ証券東京支店 投資調査本部長/チーフストラテジスト

島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]
【第24回】 2011年6月1日
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1.壁のレーゾン・デートル

 壁は破られる宿命にあるのか。各国の長期債利回りは軒並み節目とされる水準に低下し、攻防戦を続けた後、局所的に突破を始めた。

 具体的には、米国10年債利回りの3.1%、独10年国債の3.0%、日本の10年債の1.1%が長期金利の下限として意識されてきた。債券先物価格で言えば、141円に相当する。5月の債券相場は壁に上値を阻まれ、狭いレンジ内に留まっていたが、おそるおそる打診を始めた。

 債券市場参加者の気迷いは景気に起因する。世界景気は減速しているが、腰折れたり、後退局面に入るほどではない。昨年5月に発生したギリシャ・ショックは、欧州全体の財政金融不安に発展し、世界景気の二番底懸念を招く要因となった。

 確かに今年も、2月に中東情勢が緊迫化し、3月には日本で大震災が発生し、4月以降はギリシャなど欧州の財政不安が再燃している。もっとも、いずれも景気のトレンドを変える要因ではない。

 近年はCTA系ファンドの存在感が高まってきた影響もあり、各種の先物市場で移動平均、特に200日線が重視されるようになった。まさに現在、債券先物の中心限月は200日線(27日終値で140円91銭)での攻防となっている。

 ちなみに、超長期セクターの利回りは200日線を割り込み、先行して壁を突破している。先物の動意が乏しい分、市場のエネルギーが超長期債に流れ込んだ形になる。

 日本の債券市場に先駆けて、米国10年債利回りも200日線を突破している。独の10年債も3.0%の大台を割り込んだ。その他にも、上海株はすでに200日線を割り込み、下げが加速している。

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島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]

しまもと・こうじ/1990年、東京大学卒業、日本興業銀行入社。調査部門で金利分析や経済予測を担当。2000年からBNPパリバ証券で投資調査本部長兼チーフストラテジストとして金融市場予測を担う。日本経済新聞社の債券アナリスト・エコノミスト人気調査の債券部門では06、08年に1位。金融庁の金融市場戦略チームや金融税制研究会、行政刷新会議の事業仕分けなどに参加。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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