ギリシャの二の舞か…「現金給付」「消費減税」バラマキ政策が招く“悲惨すぎる末路”とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

「現金給付」や「消費税の減税」で私たちの生活は本当に良くなるのだろうか?財源確保には国債を発行せざるを得ないが、国債増発は金利上昇を招き、住宅ローンの金利上昇を招くだろう。中小企業の経営悪化、倒産の増加も心配だ。何より最大の影響を受けるのは、政府の利払い負担だ。利回りがその国の成長率を上回り始めると、雪だるま式に利払い費用が増えて財政赤字が急拡大することを絶対に忘れてはいけない。今の日本に本当に必要な政策とは、いったい何か。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

バラマキ政策へ突き進むのか
わが国の将来を憂う

 7月20日の参議院選挙で、自民・公明両党は過半数(125)の議席を維持できなかった。これにより、自公連立政権は衆議院に続き、参議院でも少数与党になった。

 参院選の主な争点は、「物価高への対応策」だった。自民党は2万円の現金給付を主張し、野党は主に消費税率の引き下げ(減税)を主張した。与野党ともに家計に対する支援が主体で、言ってみれば、経済のパイを増やすことではなくパイの分配に力点を置く政策が目立った。

 これから連立政権がどのような形になるかは見通しづらいが、自公がどの政党と連立を組むにしろ、恐らく、消費税率の引き下げが実施される可能性は高いだろう。問題は、消費税率を引き下げて、本当に日本経済は改善に向かうか否かだ。

 消費税率を引き下げると、一時的に国内の個人消費は盛り上がるかもしれない。しかし、その効果は一時的なものにとどまる可能性が高い。消費税の減税もある意味で“バラマキ”政策であり、わが国の財政状況が一段と悪化することは間違いない。

 財源の当てなく減税を実行すると、国債に頼らざるを得ない。長期的に見ると、わが国の財政破綻の懸念は一段と高まる。そうなると、長期金利はさらに上昇し、国の利払い負担は増える。国債の格下げのリスクも上昇するはずだ。

 かつてギリシャが陥ったように、わが国の財政破綻が現実味を帯びてくることも考えられる。それは国が破綻するということ。誰も、それが現実になってほしいとは思わないはずだ。

 それを防ぐためには、わが国経済の成長力を高めて、借金に頼らないで国を運営することが必要だ。日本に本当に必要な政策は、しっかりした成長戦略だ。参院選で、各党の主張にそれが見られなかったことに憂慮する。この国は本当に大丈夫だろうか。