ローソンの玉塚元一会長が4月12日の決算会見で辞任を表明した。三菱商事の支配が強まる中で、何が起きたのか。“プリンス”を直撃し、真意を聞いた。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)
――突然の退任発表に驚きました。
これは私の考え方ですが、企業の取締役はプロ野球選手のように1年契約。1年ごとに、けじめをつけなければなりません。2月末に16年度が終わり、次の期も全身全霊でやるのかどうかが、私の中でのポイントでした。
2月10日に(ローソンを子会社化する)三菱商事のTOB(株式公開買い付け)が終わり、竹増貞信社長は加盟店の支持を得られるようになりました。改革については、やるべきことは残っているものの、道筋はついたのです。
迷いました。現場にしっかりと入り込むと同時に、大局の戦略を立てていくことが私の経営スタイルです。(私と竹増社長の)2頭体制になると、個別の案件について、私に聞けばいいのか、竹増に聞いた方がいいのか現場が悩み、意思決定が遅れてしまう。これはローソンにとってよくありません。
商事出身の竹増をリーダーに据えた方が経営判断のスピードが上がり、それがローソンにとってプラスになるだろうと考えたのです。この「For the LAWSON(ローソンのために)」の理由が6割です。