STEP2 「好きなこと」をお金に変える

小学校高学年の頃、私の趣味は電車の写真を撮影することでした。

今で言うところの「撮り鉄(とりてつ)」です。

地元の埼玉県内を走っている電車はもちろん、夏休みや春休みには「青春18 きっぷ」を活用して日本各地の電車を撮影しに出かけていました。

自分で言うのもなんですが、ずいぶんと行動力のある子供でした。
それほどに鉄道写真を撮影することに夢中だったのです。

最初は純粋な趣味にすぎず、撮影した鉄道写真が増えていくことが楽しくてたまりませんでした。

アルバムに収めた写真を見ながらニヤニヤする。
そんな幸せな少年時代を過ごしていました。

ところがある日、ホームに入ってくるお目当ての電車を待っていると、駅の売店(キヨスク)で売られていた商品が目に入りました。
それは、全国の観光地の景色を収めた写真でした。

このとき、私の頭の中にはこんなアイデアが浮かびました。

「自分が撮りためてきた全国の鉄道写真も売れるかもしれない」

今でもそうだと思いますが、ホームの端っこなどの撮影スポットに行くと、私と同じような撮り鉄仲間が何人もシャッターチャンスを狙って待機していました。

そんな地元の撮り鉄仲間に北海道や大阪、九州で撮影してきた写真を販売すれば、買ってくれるのではないかと考えたのです。
何より私自身、自分がもっていない鉄道写真があれば購入したい。

きっと売れるはずだ!

そう確信した私は、すぐに自分のコレクションの写真を焼き増しし(当時はまだデジタルカメラはなく、フィルムのカメラでした)、撮影スポットで待機していた撮り鉄仲間に見せました。

ちなみに、値段は1枚100円。
焼き増し代は10円だったので、1枚売れれば90円の利益です。

すると、何人かが
「この電車の写真欲しかったんだ!」
「これ、大好きな電車だ!」
と言って写真を購入してくれたのです。
狙いどおりでした。

当時、写真はお金のかかる趣味でしたが、多いときで月に1万円くらいの売上があったのでフィルム代や新たな撮影旅行の交通費を捻出することができました。

ますます鉄道写真という趣味にのめり込んでいく結果となったのは言うまでもありません。

このように「鉄道写真を販売する」という経験から、はからずも私は「好きなことがお金に変わる」ことを学んだのです。