E男さん「F君、LINEはさ、もう少し考えてからしてくれないかな。深夜の思いつきは感情的になりやすいからメールしない方がいい、って言うじゃん。LINEじゃなく、会社で直接会って話そうよ」

 F君「何言ってんだよ。そもそもお前がアイデアをなかなか出さないのが悪いんじゃないか。思いついたら即送っておかないと忘れちゃうよ。鉄は熱いうちに打てっていうだろう。どうしてそれがわからないんだい。ヤル気あるの?。もう、お前なんかと組まされて、俺、ほんと運が悪いよ、最悪だよ」

 E男「そこまで言う?お前何様のつもりだよ。そっちこそ、全然役に立たないクソみたいな思いつきを次から次と」

 F君「クソみたいだって。もういっぺん言ってみろよ」

 ここから先は修羅場。コンビの運命は想像にお任せする。

 これら3つのシーンには、共通する「脳の癖」が隠れている。「ADHD脳」と呼ばれる発達障害の1つだ。それはどういうものなのか、発達障害専門のクリニックで治療に当たっている司馬理英子医師に教えてもらった。

20人に1人はいる
「ADHD脳」は身近な存在

――「ADHD脳」とはどういうものですか?

司馬理英子さんの『マンガでわかる 私って、ADHD脳!?』(大和出版)が好評発売中。漫画・しおざき忍、151ページ、1404円(税込み)

 発達障害の1種で、脳の癖のようなものです。例えば脳には、たくさんの機能を請け負う場所があるのですが、ADHD脳の場合は、毎日決まったことをコツコツやるための場所や、日常生活を確実にこなしていくための場所が上手く機能しません。

 そうしたADHD脳の人には、3つの特徴があります。1つ目は『不注意』。注意力や集中力を持続できず、気が散りやすい。忘れものや失くしものがすごく多い。これらは、忘れてはいけないという意識を持続できないために起こります。同様に、遅刻、ケアレスミスなど、不注意が原因で起こるトラブルは少なくありません。

 2つ目は『多動性』。落ち着きがない。大人なのにいつも慌てている印象です。あっちを考えたり、こっちに気をとられたり、せわしなく動いています。よく物にぶつかったり、部屋やデスクの中が散らかって収集がつかなくなるのもこのタイプです。フットワークが軽いとも言えますが、そそっかしさが重なると大変です。単純作業も苦手です。

 そして3つ目は『衝動性』。自分の感情や周りの刺激に反応しやすい。パッと思いついたことはすぐやらないと気が済まない。今はこれをやっている場合じゃない、といったストッパーが効かない傾向があります。相手の話をさえぎってしまったり、並んで順番を待つのが苦手なのもこのタイプです。失言が多いのも特徴です

>>(下)に続く

>>後編『不注意・せかせか・衝動的「ADHD脳」社員の活かし方(下)』 を読む