第62回の連載では、老後に向けて50歳代から副業を始めることの重要性について触れました。人生が100年以上も続くことも決して特別ではない時代になりつつある今、少しでも働く期間を長くすることで、退職後にそれまで蓄えた資産を引き出すタイミングを先送りすることができ、これまで積み上げてきた資産を長持ちさせることができるようになります。このように退職後も働くことは、長生きリスクを気にすることなく、人生を十分に満喫するためには必要不可欠になりつつあり、その準備としてのサラリーマン時代からの副業に焦点が当たってきています。

 でも、私の周りで副業を持っている人なんていないよ、という人も多いと思います。そこで、最初に現在どのくらいの人が副業を持っているのかを見てみましょう。

副業をやる人は増えている!

 個人がオンラインで仕事を受注して報酬を得るという新しい働き方を提供しているランサーズ株式会社が2016年に実施した「フリーランス実態調査」によると、本業がサラリーマンで副業としてフリーランスの仕事もこなすワーカー(「副業系すきまワーカー」と定義)が416万人もいることが明らかになりました。また、少し古いですが総務省の「平成24年就業構造基本調査」でも、本業も副業も雇われている人の数はこの10年で着々と増加しており、2012年には105万人に達しつつあります。サラリーマンが副業するのは徐々に日本の雇用環境の中に浸透しつつあると言っても過言ではないのです。

 でもなぜ今、副業が盛んになってきているのでしょうか? もちろん政府が「働き方改革」の名のもとに、政策的に多様な働き方を促進していることが大きいですが、最大の理由は、オンラインで仕事を獲得できる環境がここ数年で著しく整ったことだと思います。オンライン、極端な話、スマートフォンがあれば仕事ができるので、オフィスに通勤する必要がありません。だから、本業をやりながらでもできるのですね。また別の理由としては、ビジネスが多様化かつ深化したため、一企業が自社の従業員だけで対応できない分野が増えてきていることもあげられるでしょう。