食は、どうなる。
【第5回】 2011年6月15日 足立直樹

食べものを本当に棄てているのは企業か消費者か

「飽食の時代」という言葉が使われたのは既に20年以上も前のことですが、その状況はさらに進行しているようです。世界中のあらゆるところから、工業製品のようにして作られた食べものが、安く、大量に届けられ、私たちの世界は食料に溢れているようにすら思われてきます。

 しかし、それが錯覚に過ぎないことは、3.11の震災後のスーパーの棚が示してくれました。むしろ、私たちは世界中から食べものをかき集め、その結果、なんとかこの「虚栄」を保っていると言えるでしょう。

 日本はもともと食料自給率が低い、つまり海外依存度が高いのですが、今回の東電原発事故によって引き起こされた広範囲の放射能汚染を考えると、今後、海外への依存を少なくとも一時的にはさらに増やさなければいけない状態にあります。ところが今年も、既に中国やフランスなどの食料輸出国から、異常気象のニュースが聞かれます。全世界的な食料危機が刻一刻と近づいてきているようにも思えます。

こうした状況を見直し、私たちの「食」を確保するための方法の一つとして、今回は食品廃棄物の問題を取り上げたいと思います。

 ご存じでしょうか。日本では、毎年2000万トン、つまり消費する食品の2割、輸入する食品と比べると3割もの食品が廃棄されているのです。(表1参照)

 単純に考えれば、これを減らすだけで、私たちが生産又は輸入しなければならない食品の量を大幅に減らすことができます。今後もし供給量が本当に少なくなるような事態になったとしても、ひもじい思いはしなくて済むはずです。

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足立直樹

東京大学理学部卒、同大学院で理学博士号取得。国立環境研究所、マレーシア森林研究所(FRIM)を経て、コンサルタントとして独立。専門分野はCSR、環境経営、環境コミュニケーション。日本生態学会常任委員、環境経営学会理事、環境省生物多様性広報・参画推進委員会委員、環境省生物多様性企業活動ガイドライン検討会委員、国際NGOナチュラル・ステップ・ジャパン理事、サステナビリティ日本フォーラム運営委員などを務める。


食は、どうなる。

現在、私たちをとりまく食の背景には、安全性の問題や、気候変動の影響など、とても複雑な事情や問題が絡み合っています。私たちが食べているものを様々な視点から見て、私たちの命を支えている食の仕組みをあらためて考えてみましょう。

「食は、どうなる。」

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