トランプ大統領Photo:JIJI

トランプ大統領が「紙ストロー廃止」を宣言したことが話題だ。これを「ポピュリズム」とか「理解に苦しむ愚策」と切って捨てることは簡単だが、「脱プラ・脱炭素が抱える矛盾」を炙り出したと捉えることもできる。「レジ袋課金」「紙ストロー導入」以上の政策が進まない現状は何を意味するのか。今こそ、脱炭素について考え直すときが来ている。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)

ストローを紙にする前に
やるべきだったこと

 アメリカのトランプ大統領が連邦政府機関での紙ストロー使用を廃止する大統領令を出しました。

 このニュースを耳にして鼻にプラスチックのストローが刺さったウミガメを思い出した人も少なくないかもしれません。2015年にYouTubeで動画が拡散され、海洋に廃棄されるプラスチックが世界的な問題となりました。これをきっかけに、レジ袋の廃止や紙ストローへの置き換えが世界に広まります。

 プラスチック削減の動きは、脱炭素と海洋保護の2つの社会課題に向き合うために必要なことだと考えられてきました。トランプ大統領の政策はこれまでの常識をかき回します。

 紙ストローを廃止するトランプ氏は、次のように主張しています。

「使ったが、破れたり、折れたり、裂けたりした。熱いものを入れると長く持たず、数分、時には数秒しか持たないばかげた状態だ」

 紙ストロー以外にもトランプ大統領がパリ協定を離脱したり、EVへの補助金を打ち切ったりと、脱炭素や環境保護に反する決定ばかりしていることが気になっている読者は少なくないかもしれません。