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外食各社のコーヒー値上げを
ドトールが静観できる理由

週刊ダイヤモンド編集部
2011年6月20日
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ドトールが3年前に値上げしたのは、原材料に加え、店舗数の大部分を占めるフランチャイズ加盟店負担の賃料なども高騰したためだ

 コーヒーの値上げに踏み切る外食企業が後を絶たない。

 今年2月にスターバックス コーヒー ジャパンが「スターバックス ラテ」のショートサイズなどを10~20円値上げしたのに続き、今月1日にはシャノアールが展開するカフェ・ベローチェもコーヒー関連商品を値上げした。今月24日には、いまやコーヒー商品の年間販売量が約3億3000万杯にも上る日本マクドナルドも「プレミアムローストコーヒー」のSサイズを20円値上げする。

 スタバやマックは値下げを決めた商品もあることから、今回の値上げが価格戦略全体の見直しであることを強調する。が、その背景にはコーヒー豆の価格高騰というやむをえない事情もある。

 「企業努力で賄える範囲を超えている」(コーヒー国内大手メーカー)。実際、コーヒー豆の国際相場は昨年に比べ2倍以上に高騰。コーヒーは加工度が少ないだけに、インパクトは甚大だというのだ。

 そんななか、ドトールコーヒーは将来的に値上げする可能性はあるとしながらも、「豆の価格が高騰したという理由だけで今すぐに値上げするようなことはない」と、現時点での価格据え置きの意思を明確にする。とはいえ、相場自体が高騰しているのだから同社にとってもその負担は重く、今期は前期比約14億円のコスト増となる見込みだ。

 ではなぜドトールは静観していられるのか。まず、同社は豆の価格高騰を見越し、店舗修繕などにかかる今期分の経費を前期に前倒ししている。ここ数年行っている店舗レベルでの人員の見直しや本社経費の削減などもさらに進める考えだ。またコーヒーの焙煎・卸売り業者の顔も持つドトールは、チェーンとしてのコスト削減のみならず、製造部分でのコスト削減も可能。「企業努力」の及ぶ範囲が広いという。

 加えて、ドトール・日レスホールディングス(HD)として、グループ全体での補完も望める。傘下の日本レストランシステムは、ランチメニューの価格見直しや、買収したパンの製造販売会社サンメリーのノウハウを生かしたサラダバーならぬパンバーの導入などをしており、今期業績回復が期待できる。グループでの仕入れ共通化によるコスト削減も、数千万円規模で可能という。

 東日本大震災の影響による想定外の支出があるため、14億円のコスト増をすべて吸収し切れるかは未知数だ。しかし、ドトール・日レスHDの営業利益率は、ドトールの経費を前倒しした前期ですら7.3%。業界内では高水準で、比較的余裕がある。

 今後、万一消費税が引き上げられれば、増税分を企業が負わない限り、消費者には実質値上げとなる。しかし今回値上げした企業のさらなる値上げは許容されるか。各社戦略はさまざまあろうが、リスクに備えた体制づくりが求められている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)

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