
オフィス街のカフェは、情報が「ダダ漏れ」すぎる
最近約束の時間より早めに行き、近くのカフェでコーヒーを飲んでから、お客さまのオフィスに向かうことにしている。
少しくつろいでから行きたいのだが、そういうわけにもいかない。というのも、オンライン会議をしている人々から、思わず耳を疑うような声が聞こえてくるからだ。
「Xさんが○○のAさんに、前の公演のときに相当きつく当たったらしくて……Aさん、次の公演はもう絶対に出ないって言っているんですよ」
「グループの他の子で回そうとしたんですけど、誰もXさんの仕事には付き合いたくないって」
「どうにかしないと、まずいですよね……」
大きく、しかも良く通る声である。盗み聞きをしたわけではない。カフェにいた他の人にも間違いなく聞こえていたはずだ。
Xさんとは、いろいろな賞を獲得している舞台演出家。○○はアイドルグループだ。Xさんも○○も、「国民的」といえるほどではないが、多くの人が名前を聞いたことがあるという程度には有名である。どうやら少し前に公演が終了し、その反省会をやっているらしい。
別のカフェでは、こんな話も聞こえてきた。
「○○社のYさんって、△△(広告会社)とズブズブだから、表ではいろんなところに『提案、持ってきてよ』って言っているけれど、出したアイデアは△△にパクられるだけだよ」
「あれ、絶対、裏でなにかあるよ。」
「本当にやばいって。話を真に受けたら損しかしない」
Yさんは消費財企業の宣伝担当者のようである。広告を大量に投下している企業だ。オンライン会議で話をしている人は、広告制作かイベント制作のプランナーらしい。
さらに驚くべきは、明らかに採用面接が行われているであろう現場に出くわすことである。