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PBR1倍割れの株価をどう考えるか

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第186回】 2011年6月22日
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PBR1倍割れは経営者の落第点!

 『日本経済新聞 電子版』(6月20日)に、「PBR1倍、それでも買えない日本株」と題する記事が掲載された(北沢千秋編集委員の署名記事だ)。

 東証一部上場の日本株のPBRがちょうど1倍近辺で推移していることを論じた記事だが、平均で、1倍ということは、株価がPBR1倍を割る銘柄が相当数あるということだ。記事には、時価総額3000億円以上でPBR1倍割れの株価となっている銘柄をリストアップしている(株価は16日時点)。

 業種を分散しながら目についた銘柄を幾つか挙げると、凸版印刷(0.57倍)、NEC(0.57倍)、NTT(0.68倍)、日本通運(0.71倍)、ソニー(0.79倍)、住友商事(0.8倍)、パナソニック(0.9倍)など、錚々たる有名企業が並ぶ。

 名指しにしておいて指摘するのは気が引けるが、PBR1倍割れの意味として一番しっくり来る解釈は「経営者の落第点」だ。

 一株当たりの純資産(=株主資本)、利益と、株価の関係は、次のように考えることが出来る。

 「あるべき株価は、純資産に、期待される将来の企業の利益が株主資本に対するリスクに見合った要求利益を上回る差である『超過利益』の割引現在価値を合計したものである」(注;全て「一株当たり」で読んで下さい)

 ここでは、投資家が将来赤字を予想する場合だけでなく、将来の純利益が仮にプラスだろうと期待していても、その水準がリスクに見合うものではないとされた場合、現在時点での株価の評価は一株純資産を下回ることがあり得る。

 何れの場合であっても、PBR1倍割れの株価は、投資家から見て、経営者がその企業の純資産に、リスクに見合う分以上の利益を追加するような経営を将来行うと考えられていないということになる。つまり、経営者が投資家に信用されていないのであり、市場が与えた経営者に対する落第点だという解釈だ。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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