あの蓮舫氏もダンマリを決め込む
たばこを巡る「大人の事情」とは

 では、そのようなセメントマッチ(真剣勝負)を、なぜ小池都知事は仕掛けたのかというと、3つの理由がある。まず、ひとつ目は、ここを争点化することに成功すれば、都民ファーストの会が圧勝する可能性が出てくるからだ。

 各政党が受動喫煙防止対策を出すということだが、自民党東京都連は、ほぼ間違いなく厚労省案と懸け離れた「骨抜き案」を出してくるだろう。党厚労部会で了承がとれなかったものを、東京都連が「公約」として掲げられるほど、自民党は自由な組織ではない。

 では、民進党ならばできるかというとこれもビミョーだ。ご存じのようにこの党は「労組票」をなくすと、またごそっと議席を失ってしまう。JT労組や飲食業関連の組合のことを念頭に置けば、厚労省案など支持できるわけがない。自民党の決定には脊髄反射のごとく反対する蓮舫さんたちが、なぜか受動喫煙防止対策に関しては大騒ぎをしないのは、そういう「大人の事情」があるのだ。

 一方、都民ファーストの会はテレビでおなじみの音喜多駿都議をはじめ、受動喫煙防止を訴えてきた議員が多い。小池都知事が「共闘」を宣言している公明党も同様で、「がん対策」の流れから受動喫煙防止に熱心な女性議員が多く、かねてからたばこの害にまつわる勉強会も開催している。

 つまり、現時点で「厚労省案」に準じた受動喫煙防止対策を政策として実現できそうなのは、これら「小池派」だけなのである。豊洲新市場移転問題や待機児童問題など、どの政党も主張は似たりよったりであるなかで、このテーマでは、明確に「差別化」できる。

 また、もしこの受動喫煙防止対策が大きな争点となった場合、自民党が「割れる」という事態も起きる可能性がある。自民党都連の有力支援団体のひとつである東京都医師会の尾崎治夫会長が言う。

「医師会はこれまで自民党を応援してきたが、受動喫煙防止という一点だけはどうしても不協和音が出てしまう。自民のなかでも厚労省案のような厳しい規制に賛成だという若手議員も少なくない。そこで次の都議選では、私たちが考える医療政策について全候補者へアンケートを送って、その結果を参考にして推薦を決めようと考えている」

 その医療政策の中には、厚労省案に準じる受動喫煙防止対策が含まれている。つまり、「たばこ」をめぐる議論が大きく盛り上がっていくと、自民党東京都連の候補者内でもさまざまな主張をする者が現れ、「分裂選挙」の様相を呈していく恐れがあるのだ。

 こうなれば、「小池派」が俄然有利になるというのは説明の必要がないだろう。