全国的にはたばこ容認派が多いが
東京に限れば原則禁煙派が多数

 いや、待て待て、仮に「受動喫煙防止対策」が争点化されたとしても、厚労省案のように屋内原則禁煙を掲げた条例が有権者に支持されるかどうかは別の問題だろ、という意見があるだろう。

 確かに、産経新聞とFNNが合同でおこなった世論調査では、厚労省案を支持したのは37.6%にとどまり、「喫煙」「分煙」「禁煙」を選んだ上で表示を義務付ける自民党たばこ議員連盟の対案を支持する声が60.3%に達している。

 この結果を受けて、自民党のたばこ議連メンバーは「受動喫煙対策は国際的な潮流というが、むしろ国内世論はわれわれを支持している」(産経ニュース4月9日)として勝利宣言をしたほどだが、この調査が「全国」を対象としていることを忘れてはいけない。

 実はそれこそが、小池都知事が「たばこ戦争」を仕掛けた2つ目の理由だ。

 2015年5月28日、国立研究開発法人国立がん研究センターと、がん対策情報センターたばこ政策研究部が出した「東京オリンピックのたばこ対策について都民アンケート調査」では、東京オリンピックに向けて罰則つきの規制を求める意見が過半数を占め、都民の4分の3はなにかしらの規制の導入が必要だと回答しているのだが、ここで注目すべきは、75.5%に及ぶ人が「受動喫煙防止のために分煙は効果がない」と述べていることだ。

 実際、受動喫煙に分煙は効果なし、というのは科学的に立証されている。厚労省案もこれに基づいて、「原則禁煙」を掲げてきた。都民の7割が「分煙は効果なし」と思っているということは、裏を返せば7割の都民が厚労省案に近い、都民ファーストの会の公約を受け入れる土壌があるということだ。

 全国区の話ならば、先ほどの世論調査のように勝機はないが、東京都民の多くは「分煙への不信感」を持っている。この層を「票田」とすることができれば一気に風をつくることができるというのは、松沢成文・神奈川県知事時代の選挙を見れば明らかだろう。

 もちろん、「分煙不信」の75.5%のすべてが、厚労省のような「全面禁煙」を望んでいるわけではなく、そのうちの36.2%は、「効果はないと思うが、喫煙者と非喫煙者が共存する現状では分煙はやむを得ない」と答えている。つまり、「分煙は効果がないのはわかっているけど、飲食店も困るだろうし、愛煙家もいるわけだからしょうがないじゃん」という自民党的な「意見」が多いのである。

 じゃあ「飲食店原則禁煙」なんて訴えて選挙を戦うのは、かなりリスキーじゃないかと思うかもしれないが、むしろここが都民ファーストの最大の「勝機」となる。