しがらみだらけの政治家は
小池都知事の格好の標的

 先ほどの分煙を消極的に支持している36.2%というのは、わかりやすく言うと、「たばこの害はわかるけど、世の中にはいろいろ“しがらみ”があるんだから」という、いわば物わかりのいい考え方をする人たちだ。

 実はこの考え方は「たばこ」というものの本質をついている。害はあって世界的には問題視されているけど、日本では財務省と「たばこ事業法」に守られている。食事中はたばこの煙なんて吸いたくないという人もいれば、食後の一服がたまらんという人もいる。つまり、「たばこ」というものは「しがらみ」の権化のような存在なのだ。

 これこそが、小池都知事が「たばこ」を争点に選んだ最大の理由である。

 都知事選に出馬した際、「組織やなんらかのしがらみを越えて、この都知事選に邁進していく」という第一声を上げたことからもわかるように、小池氏は都知事になってからずっと「しがらみのない政治家」というブランディングを続けている。

 正義のヒーローの価値を高めるには、「悪」の存在が必要不可欠であるように、「しがらみのない政治家」の価値を高めるには、正反対の存在である「しがらみだらけの政治家」にも光を当てなくてはいけない。

 選挙期間中に「都議会のドン」を名指しで批判し、知事になったら豊洲新市場の地下ピットをわざわざ「謎の地下空間」と言い換え、石原慎太郎氏と一戦をまじえたのも、オリンピック会場問題で森喜朗さんという、これまた「しがらみ感」の強い政治家を向こうに回したのも、すべては「しがらみのない小池百合子」というブランディングのため、という見方もできるのだ。

 そのような「しがらみ」との戦いのなかで支持を拡大してきた小池都知事にとって、「受動喫煙防止対策」がどのような意味を持つのか考えていただきたい。

「屋内全面禁煙は国際的にも大きな流れで、どの国も大きな混乱なく導入されており、飲食店の売り上げは減るどころか、むしろ増えていますよ」という厚労省側の説明を、「海外の話なんか知るか!日本は特別な国なんだから関係ねぇんだよ!」と突き返す自民党の「たばこ族」は、特定の業界にとっては立派な代弁者であるが、一般国民にとっては「しがらみ」の塊にしか見えない。

 つまり、「しがらみハンター」である小池都知事にとって格好の獲物なのだ。